昨季年間女王の佐久間朱莉(23=大東建託)が、オフに急逝した、尊敬する師匠に捧げる開幕戦での優勝を果たした。2位と4打差の単独首位から出て3バーディー、1ボギーの70で回り、通算16アンダー、272。第2ラウンドでは23年ぶりに大会コース記録に並ぶ「62」をマークし、第3ラウンドでは最大瞬間風速16・5メートルという強風の中でベストスコア69を出すなど、一回り成長した姿を見せて、通算5勝目を挙げた。昨年12月23日に78歳で亡くなった、中学時代から師事していた国内男子ツアーで最多の通算94勝を誇る「ジャンボ」こと尾崎将司さんに、最高の報告を届けた。
「この優勝をジャンボさんに送りたいと思います」
出だしの1番パー4から心身の充実ぶりを示した。フェアウエーからの第2打をピン左奥4メートルにつけると、これを決めてバーディー発進した。さらに3番パー3では、10メートル近いロングパットを沈めて2つ目のバーディー。序盤にして2位に6打、3位に8打もの大差をつけた。2位以下の選手に「逆転は不可能」と思わせる、心を折るには十分すぎる好スタートを切った。
7番パー5では、下り2メートルのバーディーパットを、優しいタッチで流し込むように転がして決め、3つ目のバーディーを奪った。ただ、8番パー3でティーショットをグリーン左のバンカーに入れ、第2打もピンまで5メートルと寄せられずに、今大会2つ目のボギーをたたくと、停滞する時間が続いた。その間に、2位の永井花奈3打差まで縮められたが、動じなかった。
今大会の初ボギーは、第3ラウンドの9番だった。開幕から44ホール連続ボギーなし。記録が残る1990年以降としては、開幕後の連続ボギーなし記録で、最長記録を樹立した。第1ラウンドも1バーディー、ボギーなしで強風の中で耐え切るなど、我慢比べなら負けない。最後まで崩れずに逃げ切った。
今大会開幕前日の4日に臨んだ会見では、師匠への感謝の思いを心からの言葉で並べていた。「やっぱり『いない』ということで、心にポッカリ穴は、今でも開いていますし、これから先、そこの穴は埋まるとは思わないですけど…。でも、今まで約9年間、お世話になって、いただいた言葉がたくさんあるので、その言葉を思い出しながらプレーしたいと思います」。天国の師匠に、恥ずかしくないプレーをするという強い決意が、開幕戦優勝へと導いた。
プロとして初めてとなった、師匠の金言が試合前も試合後もない試合。それでも佐久間は、すでに今季最終戦後に、尾崎さんの自宅兼練習場「ジャンボ邸」に、あいさつに行く姿を想像している。試合前の会見で言った。「今年もまた『年間女王を取りました』なんて報告ができたら、お褒めの言葉をいただけると思うので、それに向けて頑張りたいです」。女王は、悲しみを乗り越え、一段と強くなっていた。

