テニスの4大大会、全仏オープンが26日にパリで開幕する。クレー(土)コート最高峰の舞台で、世界トップのプレーが繰り広げられるのは車いすテニスも同じだ。第4回は「今年の全仏から加わる車いすテニスの新種目」だ。

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5月13~18日まで、イスラエルのラマト・ハシャロンで、車いすテニスのワールドチームカップ(WTC)が開かれた。85年に創設されたWTCは、テニスのデビス杯、フェド杯に相当するもので、国および地域別対抗戦。世界最強の車いすテニス王国を決めるものだ。

日本は今年、男子で2連覇を逃したが銅メダル、女子で銀メダルに輝いた。日本男子は03、07、18年と3度の優勝も経験している。そして、今回、日本に初めて金メダルをもたらしたのがクァード(Quad)という種目だ。

クァードは、男女の区別がなく、四肢に何かしらの障害があるクラスだ。WTCでは98年から行われており、22度目の開催で、日本はついに悲願の頂点に立った。パラリンピックでも正式に採用されている種目である。

そのクァードが、4大大会で初めて今年の全仏で行われる。車いすテニスの世界ツアーは、車いすテニスだけの全豪、全仏、全英、全米を開催してきた。今でも全豪を除いた3大会は、車いすテニスだけの大会として存続している。

そこに、テニスの4大大会と同時開催の大会を発足させ、その時点での世界ランキング上位8人しか出場できないステータスを与えた。07年に、テニスの4大大会すべてに車いすテニスの種目が加わり、車いすテニス最高峰の舞台となった。

パラリンピックでは、過去、男子シングルスで国枝慎吾が08年北京、12年ロンドン、斎田悟司とペアの男子ダブルスで04年アテネで金メダルを獲得している。女子は16年リオデジャネイロのシングルスで、上地結衣が銅メダルを獲得した。しかし、クァードは、12年ロンドンで、諸石光照、川野将太組のダブルスが4位に入ったのが最高だ。

クァードの成長で、東京パラリンピックの車いすテニスは、すべての種目でメダル獲得も有望だ。全仏のクァード採用は、東京に向けても追い風。7月のウィンブルドンでも、同様にクァードの採用が決まっている。

◆全仏オープンは、WOWOWで5月26日~6月10日、連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。