NBAでドラフト指名の名誉にあずかれるのは毎年60人しかいない。今年は日本代表・八村塁(21=米ゴンザガ大)の1巡目指名が確実で、そのうちの1人となりそうだ。連載「NBAドラフトを知ろう」の第2回は狭き門のドラフト指名が開催される運命の一日を日刊スポーツのキャラクター「ブル男」がRakutenTV NBAコメンテーターの塚本清彦氏(58)に聞いた。

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Q(ブル男) 指名される選手が60人なのは多いの、少ないの

A(塚本氏) ものすごく少ないよ。バスケット人口は野球やサッカーよりも多く、4億人以上いると言われていることを考えたら、どれだけ狭き門か分かるだろう。

Q そんな中で選ばれた選手なら、やっぱり年俸も高いのかな

A 指名され、契約すると3年間は順位に応じた年俸がもらえるよ。1位指名で約10億円の可能性も。1巡目ならほとんどの選手が1億円プレーヤーになる。世界のスポーツで1年目からそれだけの金額をもらえるスポーツは他にない。もちろん、生き残るには厳しい環境だけどね。現在の最高年俸はカリー(ウォリアーズ)の約43億円。CMなど副収入などを加えれば、80億円は超えると言われている。

Q ドラフトで指名されると人生が一気に変わるんだね。運命の一日はどういうふうに進行していくかな

A 会場には各チーム関係者や上位指名が確実な選手とその代理人、家族なども招待されている。一般人もチケットを買えば、中で見ることができるよ。先日、八村選手も会場に呼ばれることが発表されたよね。もちろん、可能性は高いけど、たまになかなか呼ばれずに落ち込んでいる選手もいたりする。

Q 指名された選手はどうするの

A 指名順1位のチームから順番に5分間の持ち時間を使って指名。決定後、コミッショナーから名前を呼ばれると、指名チームの帽子をかぶって壇上で紹介されるんだ。その後、別室でテレビのインタビューを受ける。米国でドラフトはESPNで生中継され、全米中で注目されるよ。

Q 指名された後にトレードがあったりするって聞いたけど本当

A そうなんだ。指名順が遅いといい選手が獲得できない。そのため翌年のドラフト指名権と引き換えにトレードができる制度が設けられている。実際に今年も1巡目を譲渡しているチームがある。2巡目になればもっと数が増えているよ。

◆塚本清彦(つかもと・きよひこ)1961年(昭36)2月26日生まれ。兵庫県出身。育英高から明大卒業後、日本鋼管に入社。ポジションは主にポイントガードとして日本リーグ優勝2度、93-94シーズンにベスト5。96年引退。明大、法大の監督を経て、現在はRakutenTVでNBAの解説を行う。

◆ドラフト ドラフトは競技、国によって全然違う。日本では野球は1巡目のみ指名。2巡目以降は下位チームから指名するウエーバー制。毎年約100人が選ばれる。JリーグやBリーグでは行われてない。米のプロスポーツではNBA以外はすべて完全ウエーバー。MLBは30球団が計約1200人を指名。NFLは32球団が約200人を指名。NHLは31球団が約300人を指名するがNBAと同じロッタリー制(プレーオフに行けなかったチームによる指名順を決める抽選)が採用されている。