日本代表八村塁(21=ウィザーズ)が、強豪相手に自慢の攻撃力をさく裂させた。20年東京オリンピック(五輪)の本番会場で、世界ランキング48位日本のエースとして、同5位アルゼンチンと対戦。12年ロンドン五輪4位の強豪に93-108で敗れたが、八村は豪快なダンクを連発するなど両軍最多23点をマークした。強化試合は24日ドイツ戦、25日チュニジア戦と残り2試合。最高の準備を整えて、8月31日開幕のW杯(中国)に向かう。

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電光石火のダンクだ。八村は、2-0の試合開始50秒すぎ、ゴール左でボールを受けた。鋭いステップで切り込む。そのまま右腕で豪快なダンクをたたき込んだ。第2Qにも素早いパスカットから独走してダンク。「プレーでチームメートに勇気を与えられればと思った」。日本バスケ史上最多1万6211人が詰めかけた五輪会場のさいたまスーパーアリーナを熱狂させた。

相手の正確な3点シュートにより、第2Qで16点差をつけられた。じりじりと追い上げて第3Qに一時逆転。2人にマークされた際は、冷静に空いている味方にアシスト。相手にNBA選手もいたが、八村は「問題ないです」とさらりと答えた。日本は八村、渡辺、馬場、ファジーカス、田中の5人が2ケタ得点を記録。「どこからでも点がとれる強みは出せた」。リバウンドも日本36本、アルゼンチン28本。7本を記録した八村は「強豪にリバウンドで勝ったのは大きい。自信をもっていきたい」と口にした。

ただし、最終の第4Qで引き離された。八村は「相手は、勝ち方が分かっている。経験の差。決めるところで決めて僕たちは決められない。ディフェンスで甘いところがあった。今日のことを忘れちゃいけない」。

小学校時代は、野球と陸上に親しんだ。肩も強かった。あまりの剛速球に、捕手が痛がって捕球できないため、やむを得ず八村自身が捕手になったほど。この日はバスケットを始めた富山・奥田中のTシャツを着た一団がスタンドにいた。「うれしかった。子どもたちの目標にいい影響を与えたい」と八村。守備の課題を胸に、さらに調子を上げていく。【益田一弘】