世界ランキング48位の日本が、同22位のドイツに86-83で勝利した。第4クオーター(Q)残り1分45秒に逆転。八村塁(21=ウィザーズ)は1点を追う第4Q残り1分50秒にシュートブロックで流れを引き寄せ、攻めては両軍最多の31得点と躍動した。

NBAプレーヤー3人が先発する格上を撃破し、31日開幕のW杯(中国)へ大きな弾みをつけた。

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神懸かり的なブロックだった。80-81で迎えた第4Qの残り1分50秒。得点を許せば、逆転の道は厳しくなる窮地だった。ゴール下の八村は、NBAで活躍するシュレーダーが個人技で切り込んでくるのを待っていた。味方が「抜かれる」ピンチも想定内。シュート体勢に入るのを見ると、絶妙なタイミングで跳んだ。右手でボールをはじき飛ばした。「彼はベストプレーヤー。自分のシュートで決めたいと思う。パスをしないと思っていた」。熱くなる勝負どころで頭は冷静に働いていた。

追い上げムードに拍車がかかった日本は直後、馬場がフリースローを2本連続で決めて逆転し、リードを守りきった。試合終了を告げるブザーが鳴ると、過去最多1万8355人が集まったスタジアムは総立ちとなった。「強豪国に勝ててよかった。選手もスタッフ陣も観客のみなさんも一丸になって戦えることが僕らの強み」と笑った。

試合前、始球式に登場した大相撲の白鵬から「八村くん頼むよ」と場内マイクを通じて、伝えられた。「プレッシャーを今までにないぐらい感じた」と笑いながら、「勇気づけられた。やる気になった」。しっかり結果で応えるのはスターたるゆえんだ。攻撃面でもけん引。第1Qには、背中でボールを通しながら推進してゴールを奪い、観客を魅了。後ろにジャンプして打つフェイダウェイシュートなど高い技術も光った。警戒されながら、3点シュートは3本中2本、2点シュートも16本中10本を決めた。フリースローも5本すべて決め、31得点は両軍最多だった。

強化試合とはいえ、過去4大会出場したW杯で勝ったことがない欧州勢を倒した。ドイツは日本がW杯1次リーグ2戦目で戦うチェコに19日、87-68で快勝している。リバウンドなど修正すべき点はあるが、八村は「あっちは日本なんかに負けたくないという気持ちで来てて、その中で勝てたのは大きい。自信につなげたい」と勝利の意義を強調する。日本人初のNBA1巡目指名を受けた男に導かれ、日本は弱小国を脱していく。【上田悠太】