柔道の24年パリ五輪(オリンピック)日本代表に早期内定した男女4選手が、全日本柔道連盟(全柔連)強化委員会の決定から一夜明けた30日、東京・講道館で取材に応じた。
21年東京五輪金メダリスト兄妹、男子66キロ級の阿部一二三(25)と女子52キロ級の詩(22=ともにパーク24)が、開会式の3日後、来年7月28日の柔道競技2日目に思いをはせた。
ともに下から2番目の軽い階級のため、もちろん今回も同日に試合を迎える。しかし前回の東京五輪と違うのは、決勝の順番だ。世界選手権など、柔道界では基本的に女子→男子の順に試合が行われるが、来夏のパリ大会では男女平等の観点などから、試合順が隔日で変わることが決まっている。
初日は女子48キロ級、男子60キロ級の順で3位決定戦と決勝戦を実施。2日目は入れ替わって男子66キロ級、女子52キロ級の順になる。東京大会では先に詩が金メダルをつかみ、妹が見守る前で兄の貫禄を示し、面目を保って、史上初のきょうだい同日Vを成し遂げた。
今回は立場が反対となることに、詩は「そうなんですか!? 不安です」と苦笑い。思い出してしまったのは19年のグランドスラム(GS)大阪大会だ。珍しく一二三の決勝が先にあり、計7分27秒の熱戦の末、当時3連敗中だったライバル丸山城志郎(ミキハウス)を破って、東京五輪に望みをつないでいた。
詩は決勝前、その死闘に見入ってしまったといい「私もやってやろう! って変な気合の入り方になってしまって…」。結果はブシャール(フランス)に敗れて、悔しい銀メダル。当時は「神様の試練」という言葉を残し、後から考えれば成長の転機とはなったものの「やっぱプレッシャーですね」と笑う。
しかも、来夏の舞台は柔道大国フランスで完全アウェー。「高校2年で出たGSパリとか、膝をついただけでブーイングを浴びるような、すごい雰囲気でしたね。ただ、キレイに投げれば敵味方関係なく歓声をもらえたし、アウェーだと余計に勝ってやろう! って燃えるので、嫌いじゃないです」。未知の有観客五輪でもあるが、重圧に打ち勝って兄妹2連覇を成し遂げるつ姿を想像した。
一二三も「らしいすね。聞きました、もう決定ですか?」と表情を崩しつつ「今までずっと自分の試合が後だったので、妹にプレッシャーかからないといいなあ、と。自分はいいけど、妹は慣れてないじゃないですか」と思いやった。
続けて「でも決定みたいなので、覚悟を決めて。(早期内定で)1年以上あるので心の準備もしっかりできると思うし、自分が先なのであれば、先に金メダルをしっかり取って、妹にいい流れをつくりたい」と快勝を約束した。【木下淳】


