プレステ3の発売が今秋に延期か
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の次世代ゲーム機「プレイステーション3」の発売が、予定の今春から秋以降に遅れる可能性が高まっている。プレステ3に内蔵される次世代DVD「ブルーレイディスク」の量産に向けた準備が遅れているためとみられる。
映画並みの画質でゲームを楽しめるという最新鋭機の登場を待つ愛好家にとっては、さらに待たされる残念な状況に。ソニー復活の「切り札」と目されるプレステ3のつまずきは、上向きかけたグループの業績に影を落としかねない。
SCEは「ブルーレイの高画質映像はプレステ3に不可欠だ。内蔵が遅れれば発売延期もありうる」(広報部)などとしている。延期されれば、10月以降の年末商戦に照準を合わせる可能性が高い。
ブルーレイは、ソニーや松下電器産業など約180社で作る団体が著作権保護などの仕様を検討。昨年末に決まる見通しだったが作業が遅れ、機器の量産が始まるのは今月末以降の予定という。
ゲーム業界に詳しいエンターブレインの浜村弘一社長は「今月上旬に小売店からの受注を始めていなければ、5月の連休中に発売するのは難しい」と話すが、注文の受け付けも遅れているもようだ。
家庭用ゲーム機は市場規模が1億台以上と大きく、SCEが圧倒的なシェアを確保する。ソニーは1月、06年3月期連結決算予想を上方修正。業績に薄明かりが見えてきたが、発売延期で07年度の売上高8兆円の目標達成が遠のく恐れもある。
SCEは、かつて携帯ゲーム機でも発売延期がうわさされながら、ぎりぎりで間に合わせた経験がある。「言ったことは必ずやる」(関係者)という久多良木健社長の“豪腕”を期待する声も聞かれるが、現時点では今春の発売にこぎつけるのは厳しい状況だ。
[2006/2/25/16:01]
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