【第31回】
顔のアザやキズで悩む人を支援
ユニークフェイス
「顔にアザや傷がある人は、学校などでいじめを受けることがよくあります。『化け物』と言われたり『汚いから近寄るな』と仲間外れにされたりした経験を持つ人が多く、うつ状態になるケースも少なくない」と話すのはNPO法人ユニークフェイス代表の石井政之氏(39)だ。
ジャーナリストでもある石井氏自身、顔の右側に単純性血管腫という現代の医療では完全に治すことのできないアザがある。ユニークフェイスは顔やアザなど見た目の問題を抱えている人自身を指す言葉であると同時に、そうした人々とその家族が集まる自助グループの名称でもある。先月、ユニークフェイスの6年間の活動を記録した「顔がたり」(まどか出版)が出版された。
現在会員は全国に約200人。会員の抱えている症状は、血管腫、太田母斑、顔面マヒ、円形脱毛症、やけどによるケロイド、アトピー性皮膚炎、口唇・口蓋裂、交通事故による損傷などがある。外見に特徴が出てしまう病気や症状の人が対象で、自分を醜いと思い込む醜形恐怖といった精神的な問題が背景にある人の入会は受け入れていない。
明らかに普通とは異なる容ぼうを持った人は、幼児期から対人関係で傷つくことが多く、成長しても初対面の人や付き合いが苦手、自分に自信が持てないといった問題を抱える人が多い。石井氏は「残念ながら会員は成人が対象で、デリケートな思春期の若者の相談に直接応じられる体制はないのが現状です」とした上で、ユニークフェイスを持つ子どもの親たちを会員として受け入れ、共感の場づくりやいじめの問題を社会に訴える活動を行っている。
親の中にはわが子に向かい、「お前は顔にアザや傷があるのだから、賢く優しくなれ」と言う人もいる。しかし「能力や人格とは違い、努力では超えられないものが立ちふさがる現実があります。私は、自分の親がこのような条件をつけずに、ありのままの私を受け入れ、子どものころから積極的に外に連れ出し、伸びやかに育ててくれたことに感謝しています」と石井氏は自らの体験を、同じ悩みを持つ子どもの親たちに熱く語っている。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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