女子カーリングは10日に開幕する。日本のロコ・ソラーレが大事な初戦で対戦するのが、18年平昌五輪金メダルのスウェーデン。ただ平昌の1次リーグではロコ・ソラーレに4-5で競り負けている。スキップのアンナ・ハッセルボリ(32)に、チームの特徴、日本の長所、カーリングの魅力までを聞いた。

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いきなりのメダリスト対決であり、縁があるチーム同士の顔合わせにもなる。ハッセルボリは敬意を込めた言葉でロコ・ソラーレについて話した。

「チームの1人1人が個人でも強いです。いろんなショットを駆使してきます。すごく攻めのプレーをしますよね。表彰台を目指すなら彼女たちに勝たないといけない。初戦で日本というのは互いに相当タフだなと思いますね」

関係は深い。平昌五輪で印象的な場面があった。1次リーグの最終戦後の取材エリア。スイス戦に敗れながら、準決勝進出を決めたロコの吉田知はミスが続き、泣いていた。気づいたスウェーデン代表が、足を止め、次々に抱き締めていった。「大丈夫よ!」という優しい声掛けに、吉田知に笑顔が戻っていった。

それから4年。北京では初戦で当たるが…。「オンオフがうまいですね」。3時間弱の試合で、集中力は持続しない。「笑ったり、気を抜くというオフをどう作るかが強さにもつながっています。本当に切り替えがうまい。『カーリングが大好きだから、楽しそうなんだよね』と世界的にも認められています。北欧の人間はちょっと表情が怖くなってしまうのかな」と冗談も交え、強さを説いた。

では、スウェーデン代表の強さは何だろう。対戦経験がある富士急のスキップ小穴桃里は「4人の結束が強い。ライフステージは変わっていっているけど、その中で変わらずに4人がずっと同じというのは世界的にも少ない」と言う。

ハッセルボリ自身は平昌後に母になった。20年6月に第1子の長女を出産。「社会制度が整っていることも(競技生活の持続を)可能にし、復帰が成功できた要因だと思います」。男性でも育児取得率が8割近く、夫は昨年9月から9カ月間の休暇を取り、支えてくれている。直前の合宿でも自主バブルの中で家族と過ごした。

「カーリング選手のキャリアは長いものです。ですから、全部を望んでいいんです。両方目指していい」。他競技に比べても選手寿命が長いのがカーリングの魅力の1つだろう。幼なじみのセカンドのクノッケンハウアー(32)には、10歳の子供もいる。

北京では「ユニクロ」のウエアで挑む。スウェーデンオリンピック委員会が同社と契約を交わしており、日本との縁は一層深くなった。「本当に日本が大好きで、すごくつながりを感じています。すごく快適なんですよ。意見も入れていただきました」と感謝する。 日本時間午前10時5分に試合は開始される。「幸運の女神がほほ笑んでくれれば、勝つでしょうし、そうでなくてもベストを尽くすのみです」。認め合い、石を投げ合う。【阿部健吾】

◆ハッセルボリによるメンバー紹介

リード ソフィア・マベリス 「とても格好いい選手。常に冷静です。世界で一番ユーモアの持ち主だと思ってます」

セカンド アグネス・クノッケンハウアー 「10歳からの幼なじみで誕生日が同じ。わずか数時間の違いで生まれたんですよ。母としては大先輩ですね」

サード サラ・マクマナス 「『牧羊犬のようだよね』とみんなでよく言うんです(笑い)。『ちゃんとやってる?』など言葉をかけてくれて、みんなの面倒をみてくれるんです」