B組1位の世界ランキング6位、日本代表「スマイルジャパン」が、準々決勝でA組3位ながら、世界3位と格上のフィンランドと対戦する。

初の準々決勝で、勢いに乗ってメダル獲得を目指す日本に、心強いエールが届いた。

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頑張れ、スマイルジャパン!! 焼き肉食べ放題に「yes! 高須クリニック」-。

アイスホッケー経験者で、長くサポートを続けている、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長(77)が11日までに日刊スポーツの取材に応じ、北京オリンピック(五輪)のアイスホッケー女子日本代表の選手たちに、焼き肉食べ放題1年分を提供する約束をした。

がん闘病で昨年、死すら意識したという高須氏は、スマイルジャパンの活躍で、生きる希望が、一層わいてきたという。「情熱はなくなっていない。よみがえってきたね」と力強く、声を弾ませた。

北京で躍進するスマイルジャパンへ-。世間の話題をさらう篤志家の一面もある高須氏が、初めての準々決勝進出を受け、サプライズプレゼントを約束した。高須氏がよく知る都内の焼き肉店の食べ放題1年分をプレゼントする。実はかつて日本連盟のスポンサーを務めていた頃にも同じ店で選手たちをもてなしていたと言い「友達も連れて行っていいです」と、大盤振る舞いだ。

粋な計らいは、選手たちの事情をよく知っているから。受付や居酒屋などでアルバイトをこなして、倹約しながら競技一筋に懸けている。「練習とバイトを両立するハングリーな子たちだから、まずは食わせてやらないと。一番、喜んでくれると思う」と興奮交じりに説明した。

高須氏とアイスホッケーとの縁は深い。「経験者が少ないスポーツなら、1番が狙えるのではないか」と昭和大3年時にアイスホッケー部を創設。大学時代には、元日本連盟会長の故奥住恒二氏の指導も受け、DFとしてプレーした。卒業後も自身の名を冠した社会人チームで競技をするほど、アイホ愛が強い。「アイスホッケーは美容整形と同じで、意外に、やる人が少ない。ローカルからもトップを狙える。(観戦したら)つい言葉が凶暴になっちゃう」と笑う。

奥住氏らに頼まれ、14年ソチ五輪前には、日本連盟のスポンサーに名を連ねた。ソチ五輪の予選を観戦するためスロバキアまで応援に駆けつけたこともあった。当時、見事、本大会の出場権を獲得したスマイルジャパンに全面支援を約束し、銀行で「1億円の現ナマ」を用意。連盟の強化費に充てるよう進言したパフォーマンスは、大きく話題になった。

奥住氏の会長退任以降は日本連盟のサポートからは遠のいたが、競技との関係は切れず、パワーハラスメント問題で存続の危機に直面していた女子チーム「御影グレッズ」のスポンサーに名乗り出たこともあった。「本当に頑張っている人、困っている人を僕は支えたい」。言葉は熱を帯び、話題は、自身のがん闘病にも及んだ。

がん闘病の影響で「僕は、今年生きていないと思っていたから…。死んじゃうかなと思っていた」。一時は治療がうまくいかず、各方面、分野に行ってきた支援を、整理しようとしていたところ、徐々に体が回復してきたという。またアイスホッケーへの情熱が再燃しているが、以前のようなサポートはする必要ないと高須氏は語る。そこには、アイスホッケーを長く見続けてきたからこその裏付けがある。

「前は衰退しつつある中だったけど、今はひとり歩きしている」

日に日に注目度が高まるスマイルジャパン。12日の準々決勝に向け、「サッカーのなでしこジャパンも優勝してメジャーになった。女子も金メダルを取ったら、なでしこを上回る」と期待を寄せた。【平山連】