五輪5度出場の日本のエース、渡部暁斗(33=北野建設)が銅メダルを獲得した。金メダルのヨルゲン・グローバク(ノルウェー)との差はわずか0・6秒の僅差だった。以下は主な一問一答。

-どんなレースだった

渡部暁 寒いのは分かっていたんですけど、予想以上に寒くて。なかなか協力してくれるような選手がいなくて。結構サインも出したんですけど、あまり引っ張ってくれない部分が多くて。自分でいいペースを作らないといけないと焦りつつ、後ろとの差も見つつという感じでした。ハードなレースで最後残っていなかったですけど、最後の最後まで金メダルをあきらめずに走れたかなと思います。

-前半首位のリーベルがコースを間違え、突然現れた感じになりました

渡部暁 戻ってくるの見えてたんで、あ、間違えたんだなと思って。ポジション的には金メダル争いというか、1位になったと思ったんですけど、そこで自分のペースを崩しちゃいけないなと思ったんで、そこは冷静になってと思いながら、走りました。

-最後1周まで引っ張っていた

渡部暁 後ろのでかい集団が来てるのが見えていました。もしかしたら、金が巡ってくるかもとか思ってたら、後ろからさくっと抜かれて。2人(金のグローバク、銀のオフテブロ)が来たので。思ったようにいかないなと。何であそこの最後のストレートをもうちょっと頑張れなかったと思うことはありますけど。レースの最中はそんなことを考えられなかった。

-今年、W杯表彰台がない中で、ここでしっかり乗った。3大会連続表彰台です

渡部暁 執念ですね。今日に関しては、全然自分のことを信じられなくて。本当に大丈夫かなと思いながらスタートして。メダル取れただけ、上出来なんじゃないかなと思います。今シーズンの戦いを考えれば。僕のパフォーマンス自体は別としても、コンバイン(=複合)のレースとしてはおもしろかったのでは。そこは満足しています。

-最も金メダルに近づいた実感は

渡部暁 ないですね。ソチ、平昌の方が近かったかなと思う。今回は本当に遠いところから、何とか銅メダルを取れて良かったなと思います。

-秒差は関係ない

渡部暁 0・6秒だろうか何だろうか、僕が金メダルじゃないということには変わりない。本当はそこに手を掛けて終わりたかったけど、まぁ、今シーズンの自分のパフォーマンスを考えれば、これが精いっぱいだったのかなと思います。

-金メダルは山に例えられるが、その上り方は

渡部暁 分からなかったですね。結局。手を伸ばしてつかもうとすればするほど、手からこぼれていってしまうというか。届かない人間もいるんですって感じですかね。ベストは尽くせましたし。山頂にはたどりつけませんでしたけど、いろんな角度から山を見られて。すごくいい時間を過ごせたかなと思っています。

-団体戦が控えている。メダルのチャンスもある

渡部暁 みんながいいジャンプできれば、今日みたいにチャンスも巡ってくると思う。そこはチーム一丸となって、もう1回、メダルを取りにいくという気持ちで戦いたいと思います。

-銅メダルだったが、次も、みたいな気持ちに変わることは

渡部暁 分からないですね。とにかく、五輪が終わって、まだW杯もある。今シーズンを戦い抜いて、そこでどういう気持ちになるか、そこで考えればいい。

-グローバクとオフテブロが後ろから来ているのはスタジアムに入っていた時、感じていた

渡部暁 いや、分からなかったです。寒すぎて。とにかく頭でエネルギー使うのはやめようと思って。

-途中で引っ張る展開で、みんなで引っ張ってくれれば、体力を残せていたと思うことはある

渡部暁 もうちょっと引っ張り合っていれば、レース展開とか表彰台に乗ってくる人が変わったかなと思う。ただ、今日はそういう展開だったというだけ。そこで残せない自分が、多分金メダルに届かないところだと思う。

-リーベルが道を間違えて追い付いた時、いったんリーベルに先を行かせようではなく、自分から前に出ようと

渡部暁 彼がよけたんで。行く気ねぇんだなって(笑い)。僕も体力は残っていたんで、リーベルの後ろにつくより、後ろの集団から逃げなきゃという気持ちがあった。そこは自分のペース崩さないように、前に出た感じです。

-ノーマルヒルが終わってから、ここまで意識したことは

渡部暁 とにかくジャンプの修正。それだけでした。飛べれば走りは何とかなると。そこに集中していました。