冬季オリンピック(五輪)2大会連続銀メダルの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が、悲願の金メダルに輝いた。3度の試技すべてで大技トリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)に成功。3回目で96・00をマークし、スコット・ジェームズ(オーストラリア)を逆転して頂点に立った。98年長野五輪で採用されたスノーボード競技で日本勢初の金メダル。3大会連続のメダル獲得は、冬季五輪の日本勢では初の快挙となった。

平野歩のルーティン(技の構成)は3回とも変わっていない。これが、高い確率で成功できると自信を持って臨めるベストな構成なのだろう。1ヒット目にトリプルコーク1440を出し、その後の4回もすべてダブルコーク。5回で計19回転と回しまくった。

ジェームズは、2回目でスイッチバックサイド1260を決めた。最も難しい方向で、この日唯一の3回転半。回転数こそ平野歩に劣るものの、難度の高いグラブや独創性のある動きなど細かな部分でアピールした。ジャッジの評価も、6人中4人が上だった。

最高94から最低91と安定して高得点のジェームズに比べ、平野歩は最高96、最低89とバラツキがあった。ただ、3回目は最高98、最低95。全員からこの日の最高点を得た。同じルーティンは点が出ないリスクもあったが、あえて決断。高さや安定感を際立たせることで、ジャッジの「主観」まで変えてみせた。

◆トリプルコーク1440 斜め軸に縦3回転、横4回転する大技。技名にある「トリプル」は縦に3回転することを指す。「コーク」とはコルクスクリューの略で、コルク用の栓抜きのように、らせん状に渦を巻く回転形式であることに由来。1440は回転数(360×4)を意味する。昨年12月、平野歩が公式戦では世界で初めて

成功させた。