<パラリンピック3大会連続出場 佐藤真海>

 20年の時には五輪だけでなくパラリンピックの会場も満員になってほしい。それは社会全体として、いろいろなことを乗り越えてきた証しになると思います。パラリンピックを純粋にスポーツとして楽しむことは、障害のあるなしにかかわらず純粋にリスペクトしあえる姿なのかなと。

 昨年の9月に開催が決まり、この1年間でもパラリンピックを知ってもらえる機会は増えました。それは大きな1歩ですが、まだまだ道は長く続きます。私も出場した12年ロンドン・パラリンピックでは、五輪が終了したあと、町のあちこちに「Thanks for the Warm-up」(温めてくれてありがとう)というキャッチコピーの看板がありました。テレビCMもかっこよく、斬新な手法でパラリンピックをトップスポーツにもっていきました。その結果、英国では8万人の会場が満員になりました。日本でも障害があることで距離を取らず、もっとダイレクトに接したり、報じたりしていいと思います。

 選手の立場からも、「ここは変わるといいな」と思うことはたくさんあります。例えば、五輪とパラリンピックの日本代表のユニホーム。五輪チームと違うものだったり、五輪選手が支給されるものを購入したりしている状況です。また、日本での壮行会や報告会も別。そういうことでは、見てる側も区別をしてしまいますよね。1つ1つのことにおいて一緒に築いていくことが最高の「チームジャパン」になりますし、20年以降にも残る大切なレガシーになると信じています。

 パラリンピックには五輪にはない+αのメッセージ性もあります。障害を乗り越えたパラリンピアンの姿は、五輪とはまた違う魅力があります。生で観戦すると、障害を忘れるほどにエキサイティングです。純粋に楽しんだ後、帰り際にじーんと考えさせられる、そういう場所。ぜひ多くの方に生で見てほしいです。

 2年前のロンドン五輪では、銀座でメダリストのパレードが行われ、50万人の人が集まりましたが、それはパラリンピックが開幕する前でした。6年後の東京では、パラリンピック選手も一緒にパレードをする、そんな光景が当たり前の姿として見られることを願っています。(2014年7月30日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。