組織委員会は大会の運営、都オリパラ局はホストシティーとしての環境を整えていくことが役割です。五輪を機に、外国人観光客を増やして東京以外の地にも足を運んでもらえるようにする。水素社会の実現、車の自動運転技術の進歩、エコへの取り組み、ビジネス環境を整えて企業を誘致、高齢者への配慮、バリアフリー、駅のホームドア設置、無電柱化、スポーツ実施率の向上、健康な日本…。さまざまなレガシーにつなげ、都庁を挙げて住みやすい東京にしていきます。

 都と組織委の連携について懸念している方がいるのは分かります。しかし、実際は活発に意見交換し、課題を1つずつクリアしています。今後さらに加速していく。セキュリティー、施設、輸送など、たくさんの課題があり、それをジグソーパズルのように埋めていくイメージです。

 予算削減は大切ですが、かけるべきところには経費は必要。16年リオデジャネイロ大会は必ずしもプラスの評価ばかりではなかった。東京都は期待されています。ある部分が削減できたかと思えば、違う部分が必要になる。一進一退です。特にセキュリティーは線引きが難しい。警察がやるのか、民間警備がやるのかでも違うし、人的警備か機械で無人化するのかでも違ってきます。これをやると(1兆3850億円の総予算が)激減するというのは、なかなかありません。

 輸送問題がよく指摘されます。(築地市場移転が延期され)環状2号の地下トンネル建設が20年に間に合わなくなりましたが地上道路とはいえ1本通るので、ないより状況は良くなります。それに加え、都心への交通流入をコントロールすることが重要。さらに築地市場跡地だけでなく都内に複数箇所、輸送拠点(駐車場)を設ける。全体が円滑に回るよう組織委とシミュレーションしています。

 オリパラ局の職員は頼もしい。20年大会本番まで関わりたいという人が多い。任用試験を受けると他局に異動する可能性が増えるので保留している職員までいる。非常にありがたい。残り3年を切りました。自分が決められることではありませんが、私も最後まで見届けたいです。

(2017年9月20日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。