車いすラグビーの日本代表は、昨年8月の世界選手権で優勝しました。リオデジャネイロ・パラリンピックの銅メダルからステップアップして、初の世界一。それ以降、多くのメディアに取り上げていただき、12月の日本選手権までのテレビや新聞、インターネットでの露出の広告換算額は10億円超という評価をいただきました。

東京パラリンピックでも必ず金メダルを取ってくれると信じています。ただ、それがゴールではありません。20年以降も競技団体としてしっかり存続していかなければならない。そのためには車いすラグビーのブランドを維持、向上させ、連盟の資金力を上げることが必要です。今年から毎月、代表チームの活動や大会日程をお知らせするプレスリリースをお送りしています。ケビン・オアー監督や池透暢、池崎大輔ら選手への取材機会も積極的に提供していきます。

もちろん代表チームの強化が第一で、今は連盟の収入の大半がそこに費やされています。ただ、競技普及や連盟の支えるスタッフのことも考えねばなりません。連盟所有の競技用車いすの台数では日本各地で競技普及を行うにはまだまだ足りません。代表合宿や遠征に同行して選手の生活面をサポートするスタッフの中には自身の時間を削っている人もいるのです。

私は広告代理店から出向した大手企業のパラスポーツ支援企画に加わる中で車いすラグビーと出合い、魅力に引き込まれました。約2年間の出向を16年6月に終え現場から離れましたが、車いすラグビーをはじめパラスポーツの情報がほとんど届かないことに気づき、広報業務の重要性を痛感しました。17年秋から日本選手権の運営を手伝うようになり、車いすラグビーに自分の人生をかけてみようと決めました。

両立が難しいことから広告代理店を退職し、昨年2月から1人で広報を務めています。東京大会までに連盟の運営をより安定させ、広報業務の土台を築きたい。そして、次世代に引き継いでいきたい。50歳を過ぎて第一線にいることは、私の理想ではありませんから。あと1年半あまり。厳しいこともあるでしょうが、最後は笑って振り返ることができるようにしたいですね。

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