鳥の巣が利便性では、国立競技場を上回っていたと感じた。鳥の巣とは北京五輪の開会式が行われた正式名称「国会体育場」のこと。外観のデザインは人それぞれ感じるところが違うので、今回は置いておく。

外気に触れる記者席であつあつのコーヒーで暖を取る記者
外気に触れる記者席であつあつのコーヒーで暖を取る記者

開会式は午後8時から同10時30分ごろまで。しかし、記者は同5時30分ごろまでに会場入りしていなければならず、氷点下の世界で5時間ほど堪えなければならない。そこで重宝したのがメディアラウンジ。コーヒー、紅茶、お菓子に加えカップ麺も自由に飲食することが出来た。

室内空間にあり暖房が効いているメディアラウンジ
室内空間にあり暖房が効いているメディアラウンジ

着目したのがスタジアムの間取り。地上階から入場するとまずラウンジなどがある室内空間がある。その室内をさらに奥に進むと、外気に触れるスタンド(観客席)部分に出る。つまりスタンドを取り巻くように、外気に触れない室内空間がしつらえてあるのだ。

北京五輪開会式が行われた国家体育場(撮影・菅敏)
北京五輪開会式が行われた国家体育場(撮影・菅敏)

一方、新しく整備された国立競技場はVIPルームを除けば、スタンドの外周は売店も含め外気に触れる場所ばかり。冬場でも寒さをしのぐところがない。当初は世界一のスタジアムを目指した新国立だったが、整備費高騰問題などを経て、そこには手が届かなかった印象だ。【三須一紀】