日本パラリンピアンズ協会(PAJ)では毎月第4火曜日に会員の交流会「パラ知ル! カフェ」を開催しています。前会長で現日本パラリンピック委員会の河合純一委員長の発案で、パラリンピアンの交流と自己研さんを目的に16年1月に始めました。20年東京パラリンピックの開幕日が8月25日の第4火曜日だったため、開催日は大会に向けて気持ちを高めていこうという趣旨で決めました。

これまで会員のアイデアで実にさまざまな企画を実施してきました。星野源さんの「恋ダンス」の振り付けをオリンピアンの元新体操選手に教えてもらったり、新春には視覚障がいの選手も一緒に書き初めを楽しみました。紙芝居師のコンビに「パラリンピック紙芝居」を実演していただいたこともあります。最近では「パラリンピックと日本 知られざる60年史」の著書の田中圭太郎氏をお招きして、取材の裏話などもお聞きしました。

毎回、都内のパラリンピックサポートセンターなどに20~30人で集まっていましたが、コロナ禍の感染が拡大した4月以降はオンラインで開催しています。そうしたら意外にも地方在住の人や現役選手も参加しやすくなって活性化しました。選手たちの本音トークでは、競技に向き合う中での悩みなど率直に話し、他の競技団体と情報交換をする中で、ユーモアあふれる当意即妙なやりとりに、オンライン上で大爆笑になったこともあります。

「パラ知ル! カフェ」のおかげで、競技の枠を超えてアスリートたちの交流が深まり、違う世界のさまざまな人との和を広げることもできました。コロナ禍で大会は1年延期されましたが、パラリンピックの価値はこうした人と人とのつながりにあるのだと、あらためて感じています。

今月も第4火曜日の25日に開催します。私たちが「パラ知ル! ファミリー」と呼んでいるゲストに来ていただいた方々もお招きして開催し、そのご縁を感じながら、来年8月24日に迎えるパラリンピック開会式に向けて、気持ちを新たにしたいと思います。

◆大日方邦子(おびなた・くにこ)アルペンスキーでパラリンピック5大会連続出場し、10個のメダルを獲得(金2、銀3、銅5)。10年引退。現在は日本パラリンピアンズ協会会長で、平昌(ピョンチャン)パラリンピック日本選手団長を務めた。電通パブリックリレーションズ勤務。47歳。