【パリ9日(日本時間10日)=藤塚大輔】“ぶっつけ本番”の積極オーダーは奏功しなかった。

陸上男子400メートルリレー決勝で日本は37秒78の5位。第1走者から坂井隆一郎(26=大阪ガス)-サニブラウン・ハキーム(25=東レ)-桐生祥秀(28=日本生命)-上山紘輝(25=住友電工)を起用。前日の予選からの走順を変更しトップで上山につないだが、最後の直線で4人に抜かれた。優勝のカナダとは0秒28差、3位の英国まで0秒17差だった。2大会ぶりのメダルを逃した日本の現状を、100メートル元日本記録保持者の伊東浩司氏(54)が解説した。

   ◇   ◇   ◇

2大会ぶりのメダルはかなわなかった。伊東氏が37秒78の5位を分析した。

伊東氏 よく頑張ったことは間違いないが、今の日本が置かれている現状がよく出ているレースだった。

決勝ではアンカー上山が4人に抜かれて5位。3走桐生とのバトン渡しで後ろを振り向くロスがあった。

伊東氏 リレーでは事前に決めたマークに前の走者が来た段階で、選手は全力で飛び出す。だが練習でバトンを受けていた距離を越えると「あっ」と思わず振り向くもの。これは若干のマイナスではあった。

ただ伊東氏が注目するのはそのワンシーンではなく、予選からの流れだった。

伊東氏 予選から後手に回った。1組は米国、英国、南アフリカなど強豪がそろった決勝レベルの組。攻めた展開にしないと3位以内の着順で通過できない。

大駒のサニブラウンを予選から投入。1走に配置して先行逃げ切りを狙った。タイムは全体の4番手も、着順での決勝を逃した。

伊東氏 これによって決勝はインレーン(3レーン)。100メートルの記録で若干劣る日本はアウトレーンがほしかった。コーナーが緩やかでスピードが出せるためバトンの優位性が保てる。だが内側のため決勝はさらに攻める必要があった。

決勝は走りが芳しくなかった柳田を外し、サニブラウンがぶっつけの2走。

伊東氏 本来は最もアベレージのタイムがいい柳田が2走、サニブラウンが4走の布陣がベストだっただろう。柱と考えていた柳田を起用しないとなって、走順は相当悩んだだろう。

予選から綱渡りを強いられ、リスク覚悟で走ったひずみが5位につながった。

今後、メダルを獲得するにはどうすればいいのか。

伊東氏 個人で決勝を狙うサニブラウンはリレーの予選で走れない可能性はある。サニブラウンなしで予選から37秒台で走ることが大事だ。これは過去にできていたことだ。16年リオデジャネイロ銀メダルの時はできた(予選37秒68、決勝37秒60)。当時は9秒台の選手もいない。決勝のタイム、37秒78はもう少し上げられる。100メートルの参加標準記録10秒00を破って、五輪に出る選手がもっと出てくる必要があるだろう。【取材・構成=益田一弘】