【パリ10日=藤塚大輔】男子マラソンで赤崎暁(26=九電工)が日本人トップの2時間7分32秒で6位となり、21年東京オリンピック(五輪)6位の大迫傑(33)に続く入賞を果たした。出場81選手中75番目だった自己ベストを1分29秒も大幅更新。「五輪史上最難関」と呼ばれる累積高低差438メートルの難コースで躍動した。2大会連続出場の大迫は2時間9分25秒で13位、小山直城(28)は2時間10分33秒で23位。タミラト・トラ(エチオピア)が、2時間6分26秒の五輪新記録で優勝した。
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先頭に出た。号砲から1時間15分。赤崎は世界遺産のベルサイユ宮殿を通り過ぎ、下り基調の25キロ地点に差し掛かった。「辞めたいと思うほど坂を練習してきた」。後ろは振り向かない。険しい坂道すら「陸上人生で一番楽しい」。そんな強い心で突き進んできた。
中学時代はバレーボール部。身長145センチで小柄だったが、地域のジョギング大会で陸上部全員に勝つほどの脚力があった。開新高の木村龍聖監督に誘われて高校から陸上部へ。だが高2までは疲労骨折や膝の成長痛を繰り返した。2年の冬には陸上の強豪大学から声がかかったが「高校まででいいかな」と進学は希望せず。パンが好きだったこともあり、製パン会社への就職を志していた。
ただ、陸上を諦めたわけではなかった。3年になってけがが回復すると、練習に励んだ。「3レーン、走っていいですか?」。1000メートル走で仲間が1レーンを走る中、赤崎だけが遠回りで距離が長くなる外のレーンへ。苦しくても強くなる道を選んだ。それを見た木村監督から「走り続ければもっと伸びる」と背中を押され、秋には大学での競技続行を決意。苦労をいとわない姿勢で走ってきた。
迎えたパリの舞台。30キロ手前で後退も前を追った。銅メダリストの背中が見える距離で、最終盤まで走り続けた。表彰台には届かなかったが、難コースで入賞、しかも自己ベスト更新。「チョー楽しかった!」と声を弾ませた。今でもパンが大好きで、パリでは「クロワッサン、おいしいです!」と満喫。東京五輪の大迫に続く日本勢2大会連続の入賞を果たして、会心の笑みを浮かべた。
◆赤崎暁(あかさき・あきら)1998年(平10)1月21日生まれ、熊本県大津町出身。大津中ではバレーボール部。開新高で陸上部に入り、拓大時代に4年連続箱根駅伝出場。20年から九電工入社。22年2月に初マラソン。23年10月のマラソングランドチャンピオンシップで2位。中学では1学年先輩に女子バレーボールの古賀紗理那。170センチ。



