【パリ27日=木下淳】日本の夏季五輪メダル獲得数が、大台の通算500個に到達した。お家芸の先陣を切った、世界選手権3連覇中の角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)が決勝進出。準決勝で24年世界選手権銅メダリストのタラ・バブルファト(18=スウェーデン)を下して銀メダル以上が確定し、前回21年東京大会まで499個を積み上げてきた日本の勲章が500個目になった。
角田は4分間で決着がつかず延長へ突入。膠着(こうちゃく)状態が続いたが、2分55秒に相手の反則で勝利を収めた。
日本は1912年ストックホルム大会から五輪に参戦。1920年アントワープ大会のテニス男子シングルスで、熊谷一弥が日本人初のメダル(銀)をつかんだ。それから104年。1928年にはアムステルダム大会の陸上男子3段跳びで織田幹雄が初の金メダルを手にし、ここまで金169個、銀150個、銅180個を積み上げてきた。前回の自国開催で一気に58個を量産したことで、今大会の第1号に節目が回ってきた。
金にしても銀にしても、記録に残るメダルを手にすることが決まった角田は、日本柔道女子最年長の31歳11カ月で初出場。谷亮子、阿武教子以来の世界V3を遂げた絶対女王だ。
この日も相手を全く寄せつけず。準々決勝では、地元フランスで高い人気を誇るシリヌ・ブクリ(25)と対戦。場内アナウンスなど全く聞こえなくする大歓声が相手の背中を押したが、開始1分、伝家の宝刀ともえ投げで一本勝ちした。一瞬で場内を静まりかえらせた。
1回戦も2回戦も「必勝すぎる」パターンで圧倒。代名詞ともえ投げからの腕ひしぎ十字固めで、それぞれ45秒、68秒で退けた。春に両膝を痛め、思ったような調整はできなかった中、その左膝を思い切り伸ばして、次々と相手を宙に浮かせては畳に突き落とした。
この階級では04年アテネ大会の谷亮子以来20年ぶりの金メダルも懸かる。146センチだった谷と比べれば、より際立つ161センチの長身で、脚も長いから、ともえ投げが生きる。
かつては52キロ級で阿部詩に3勝1敗した実力者でもあり、東京五輪の代表争いで後退した19年11月に48キロ級へ転向。減量苦もあり大舞台は逃したが、同じ21年の6月に行われたブダペスト大会から世界選手権で3連覇した。しかも3大会すべてオール一本勝ちの無双ぶりだった。
ともえ投げからの関節技は世界一。柔術、総合格闘技グラップリング仕込みの腕ひしぎ十字固めも、特に強烈だ。阿部詩も3連敗を喫しており「テリトリーに入ったら遊ばれる。ヘビのようで不気味」と嫌がる。誰も逃げられない。
磨いてきた技を警戒されても決め続け、まずは決勝へ。31歳11カ月で柔道女子最年長となる五輪デビュー制覇へ。日本の500個目は、やはり金で彩りたい。



