【パリ=阿部健吾】16年リオデジャネイロ五輪銅メダル、21年東京五輪金メダルの永瀬貴規(30=旭化成)が、この階級では五輪初となる2連覇を達成した。3大会連続のメダルは、日本勢では谷亮子、野村忠宏に続く3人目の快挙にもなった。
準々決勝で世界ランク1位のマティアス・カッセ(ベルギー)に優勢勝ちし、決勝では世界選手権3連覇中の24歳、若き最強王者のタト・グリガラシビリ(ジョージア)に完勝。残り2分で谷落としによる技ありを奪うと、攻め手を緩めず1分12秒に同じ谷落としで一本を奪った。
3年前、母国日本での戦いを終え、胸に黄金のメダルを輝かせてから約1カ月後。まだまだ酷暑の8月、柔道場で道着を着込んだ。「パリまであと3年しかない」。満足感はなかった。あるのは良い意味での焦り。「自分の中で再スタートというか、東京後のスタートを早めにすることができた。4年あると『まだいいかな』っていう気持ちになっていたんじゃないかなと思う」と汗だくになって、パリへの道を歩み出した。
あの瞬間のとりこになった。「東京で優勝して、達成感だったり、いろんな気持ちになった。もう1度あの時の気持ちを、感動とかいろんなものを味わいたい」。その渇望が体を動かした。「またその未知の領域の部分を味わいたい。もう1度世界一になりたい」と3年間を走り抜いてきた。
81キロ級は欧米勢の平均体重に近く、スピードもパワーも兼ね備えた猛者たちが集結する。アジア勢、日本勢が打破していくことのすごみは、だからこそ際立つ。
かねて、旭化成の先輩でリオ、東京大会で2連覇の大野将平さんは「永瀬こそ最強」と公言してきた。
その評価に「単純にうれしいです」としながら「その分『頑張れ』というゲキも含まれての言葉だと思っている。言ってもらったからには結果を残さないといけない」と静かに闘志を燃やしてきた。
尊敬する先輩の記録に並ぶ2連覇。最強を証明してみせた。



