【パリ=木下淳】初出場の村尾三四郎(23=JESグループ)が、銀メダル以上を確定させた。これで日本男子は60キロ級の永山竜樹(銅)66キロ級の阿部一二三(金)73キロ級の橋本壮市(銅)81キロ級の永瀬貴規(金)に続く5階級連続の表彰台となった。

準決勝で地元フランスのマキシムガエル・ヌゲアプアンブを破った。怪力相手に序盤は面食らったが、しっかり襟と袖を持って圧力を強める。2分10秒、小外刈りで技あり。3分33秒、大内刈りで技ありの合わせ一本勝ちを収めた。

金メダルをかけて、決勝では21年東京五輪王者のベカウリ(ジョージア)に挑む。同い年の、今後も長く対戦し続けるであろうライバルとの初の五輪決戦となる。

初戦の2回戦は秒殺。エストニア選手に開始44秒の大外刈りを決めた。準々決勝はUAE選手を撃破。2分過ぎ、投げて相手の背中あたりを畳につけた。場内ビジョンに1度は「IPPON」と一本勝ちと表示されたが、ビデオ判定で技ありもなくポイントなし。切り替えて、最後は相手に3つ目の指導が出るまで攻めて反則勝ちを収めた。

母親が米国出身。父が授けた「三四郎」という名前は、柔道小説「姿三四郎」とは関係ないそうだが、和の心を重んじる人間に育ってほしい、との願いが込められた。本人も愛し「今まで平成の三四郎(古賀稔彦さん)とか偉大な先輩方がいましたが、僕、最初から三四郎ですから」。真っすぐな性格で男前に育った。

23年の世界選手権で銅メダル。昨年から今年にかけての国際大会で22年世界王者のボボノフ(ウズベキスタン)と同23年のマイスラゼ(ジョージア)を倒している破っている有望株だ。

東海大出身で、主将を務めた大学4年時に全国学生優勝大会では「伝説」を残した。男子団体、伝統の体重無差別7人制の決勝で1-1からの代表戦になり、国士舘大の3年だった斉藤立(23=JESグループ)と対戦した。

今回のパリ五輪に男子100キロ超級として、ともに出場している全日本王者。斉藤が負傷明けだったとはいえ、体重160キロ超を90キロ台の村尾が抑え込んで一本勝ちを収めた。体重差75キロを乗り越えての優勝に、東海大OBで00年シドニー五輪100キロ級金メダルの井上康生氏からも「歴史に残る試合」と称賛された。

令和の三四郎は「日本柔道は、金メダルを取って初めて『おめでとう』と言われる立場」と心意気も頼もしい。もう1つのルーツ米国のマイク・タイソンにも憧れる男が、海外勢を中心に大会ごとに優勝者が入れ替わる激戦階級のファイナルに勇躍、乗り込む。