パリオリンピック(五輪)の7人制ラグビー男子日本代表が24日午後6時(日本時間25日午前1時)、日本選手団の先陣を切る。1次リーグ初戦は21年東京大会銀メダルのニュージーランドと対戦。同日にアイルランドとの第2戦が行われ、1日2試合に臨む。大舞台に先駆け、東京五輪代表でリーグワン1部三重のFB藤田慶和(30)が競技の特徴を解説。15人制でも15年ワールドカップ(W杯)イングランド大会に出場したトップ選手は、観戦を楽しむ「3つのポイント」を挙げた。【取材・構成=松本航】
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★15人制と同じフィールド
「分かりやすく例えるなら、15人制は『おしくらまんじゅう』。7人制は『鬼ごっこ』で、自由度が高く、ランやステップを得意とする選手に向いています」
3年前の東京五輪後、藤田は15人制の所属チームに戻ると「人が多くて、スペースを見つけるのが難しかった」と景色が異なった。縦100メートル、横70メートルのフィールドは同じ。そこに15人制は計30人が入るが、7人制は14人で、当然スペースは広くなる。練習でも1分間で走る距離は7人制の方が長く「スプリント(短距離の全力疾走)の回数が多くて、強度が高い」という。広いスペースを操るのは防御側も同じ。少し玄人目線の楽しみ方がある。
「7人が常に動いて、連係しないと抜かれます。相手と1対1でタックルが起きた時、その両サイドと外側の選手に注目です。次の攻撃に備えて、どのスペースを埋めるのか。リスク管理と組織力が問われます」
★7分ハーフの攻防
「7分ハーフは短く感じるかもしれません。ただ、やっている選手にとって、計14分はすごく長いです」
当たる、寝る、起きる、走る-。主な動きは40分ハーフの15人制と同じだが、1人に懸かる負荷は高い。15人制と逆なのは得点した側が、次のキックオフ(KO)で蹴り込むこと。注目はその攻防で「(漫画スラムダンクの名言)『リバウンドを制する者はゲームを制す』のように、7人制は『KOを制する者は-』。ボールを持つ方が確実に有利な競技。ボールを捕れれば感覚的に7分のうち1~2分攻めることができる」。このボール争奪を有利に運ぶため、KO時に蹴り込まれる側が作るのがポッド(味方を持ち上げて捕球を狙う主に2人1組のペア)。そこにも裏話があった。
「互いに事前の研究で相手のどこが弱点かを考えるので、実際は人を上げられない偽ポッドもあります。捕球に入った選手の前、横、後ろに人を配し、仮に転がった際の取り合いを制する。1人間違えるとトライをとられるのが7人制です」
★会場は最大8万人収容
「声が通らない、歓声にのみ込まれる。フランスも金メダル候補で、盛り上がるのではないでしょうか」
会場は昨秋の15人制W杯フランス大会の開幕戦、決勝が行われたフランス競技場。7人制は各チームが1日数試合を行うこともあり、応援スタイルも多様で「お祭りです。7人制が盛んな香港ではコスプレをして、お酒を飲みながら応援してもらいました」と振り返る。フランスは今回、15人制元代表主将で国民的スターのアントワーヌ・デュポンが参戦。超満員を想定し、日本は意思疎通を図るためのジェスチャーを用意する。参加チームは全て格上。最近は「セブンアップ」と呼ばれる7人全員が防御ラインに並ぶ戦術がトレンドで、裏のスペースへのキックなど“奇襲”の可能性も高い。
「秘策は100か、ゼロか。遂行すると決めたらやりきってほしい。東京では結果が残せなかった。スタイルを貫いて結果が出れば、僕たちもうれしいです」
◆藤田慶和(ふじた・よしかず)1993年(平5)10月8日、京都市生まれ。東福岡高に進学し全国高校大会3連覇。17歳で7人制日本代表。早大1年だった12年5月のUAE戦で、15人制日本代表史上最年少出場(18歳7カ月27日)。4年時の15年W杯イングランド大会出場。16年にパナソニック(現埼玉)入団。同年夏のリオデジャネイロ五輪は7人制代表バックアップメンバーで現地へ同行。21年東京五輪出場。22年に三重へ移籍。185センチ、92キロ。



