【リヨン(フランス)2日(日本時間3日)=佐藤成】パリ五輪サッカー男子がスペインに0-3で敗れ、8強で散った。

前半11分に先制を許すと、後半にセットプレーから2失点して力尽きた。エースFW細谷真大(22=柏)のゴールがVARで取り消され、クロスバーに2度嫌われるなど決定力の差も出た。56年ぶりのメダルには届かなかったが、大岩剛監督(52)に率いられた若きサムライは出場16チームで唯一、年齢制限のないオーバーエージ(OA)なしで挑み、一定の成果は出した。

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961日。大岩監督は自身の在任期間をかみしめると、思わず感極まった。「いろんな壁というかね、いろんな障がいがありましたけど、選手がね、本当に成長したと思います。なんか…若い選手たちなんでね…いろんな……ダメだね…」。目を潤ませながら、録音する記者のスマートフォンをのぞき込んだり、広報担当者の顔を見たり、うつむいたりして気を紛らわした。最後は質問に答えることができずに取材エリアを後にした。

それだけタフな仕事だった。東京五輪延期による準備期間の縮小、コロナ禍による活動制限、予選時期の延期、クラブの選手派遣拒否…。挙げれば切りが無いほどの「壁」があった。重圧のかかるアジア最終予選では1カ月で体重が5キロも落ちた。要望していたOAの交渉がうまくいかなければ「仕方ない」と腹をくくって23歳以下の選手だけで臨むことを決断。親しい人には「次、誰がこの仕事やりたがるだろうね」と漏らすこともあったが、世間には一切弱みを見せず、強い組織を構築した。

マネジメント術は際立った。役割と責任を与えて選手やスタッフの力を最大限引き出した上でまとまりを重視。A代表でW杯を何度も経験したスタッフは「一体感は過去最高だった」と証言した。ピッチ内でもそれは同じだった。明確なチームコンセプトを共有し「誰が出ても遜色ないサッカー」を実現した。

OAなしで8強入りは日本史上初だった。スペイン相手にも臆することなく攻守で積極的なプレーを展開。一方で細谷のゴール取り消しやポスト直撃などについては「決めきれないことは我々のまだまだ実力が足りない」と課題を挙げることも忘れなかった。

チームは解散。選手にとって残るはA代表のみだ。「サムライブルーに1人でも多く入ることが私自身の望み。チャンスがあればぜひスペインに勝ってもらいたい」と切に願った。