男子フリースタイル57キロ級の樋口黎(28=ミキハウス)が悲願の金メダルを手にした。強敵スペンサーリチャード・リー(米国)を破った。

第1ピリオド(P)に先制点を許したが、第2Pに鋭い出足から足を取ってバックに回り2-2。残り10秒を切ったところからタックルで後方に倒し、2点を追加し土壇場で勝利を収めた。

「金メダルを取るまで簡単な道のりではなかった。たくさん負けて、計量失格もして、たくさんの挫折と絶望を味わってきた。自分が絶対金メダルを取れると信じてここまでやってきた。期待に応えられて本当に良かった」と喜んだ。

16年リオデジャネイロ五輪銀メダルを獲得したが、東京五輪はアジア予選でまさかの計量失格。失速して2大会連続出場を逃した。「悔しさはあったけど、考えても仕方ない」と必死に前を向いて再起。昨年の世界選手権で2位となり、パリへの道を切り開いた。

準決勝は鮮やかな一本背負いなどで2分14秒のテクニカルスペリオリティー勝ちで突破した。通常受ける試合後の取材は、決勝に向けた減量に1秒でも時間を使いたいために断った。金メダルへの気迫をうかがわせた。

昨年の世界選手権決勝で敗れたミチッチ(セルビア)は負傷でおらず、強豪のロシア勢も不参加。樋口は頭一つ抜けた存在だ。湯元健一コーチは「彼のレベルなら圧勝してほしい」と悲願を期待していた。