右足首故障からの復帰戦で羽生結弦(23=ANA)が完璧な演技で首位発進した。2本の4回転を含む3つのジャンプを成功。自身が持つ世界最高にあと1・04点と迫る111・68点で、66年ぶりの五輪連覇へ王手をかけた。

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 羽生は昨年11月9日のNHK杯の練習で右足首靱帯(じんたい)を負傷した後、故郷仙台に帰った。そのまま向かったのは開催中の「羽生結弦 写真とポスター展」。会場は荒川静香さんと自身の五輪金メダルの記念碑が立つ地下鉄国際センター駅の2階。家族とともにアポなしで訪れ、スタッフを驚かせた。松葉づえを突き、約100点ある自分の「過去」と1時間かけて向き合うと、置かれていたファン用のメッセージノートにペンを走らせた。

 「いつも応援、本当にありがとうございます! このシーズンは私にとっても特別なシーズンです。これからも全力で“羽生結弦”らしい演技をしていきます! よろしくお願いします」「ありがとうございます! Thank you! Merci! 多謝! カムサハムニダ!(※ハングル) 本当にありがとう!!」

 展覧会には3週間弱で国内外から2万6000人が訪れ、羽生へのメッセージはノート60冊にも及んだ。

 「アスリートでこうやって世界中から応援してもらえる選手ってなかなかいないと思います。その限られた1人の選手として、たくさんの皆さんからパワーをもらっている。自分はメンタルもそんなに強いわけではないし、むしろフィジカル的には、けがが多かったり、かぜが多かったり。力を発揮させていただけるのは皆さんの応援があってこそ。その声援に、応えようと思うからこそだと思います」。今日17日、世界中が羽生の演技を待っている。【高場泉穂】