日本のエースが、悲願の金メダルを獲得した。女子500メートルで小平奈緒(31=相沢病院)が36秒94のオリンピック(五輪)記録で優勝した。連覇中の李相花(韓国)は0秒39差の2位だった。

 表彰台の頂上を懸けた長年のライバル物語が、1つの節目を迎えた。小平は金メダルが確定すると、3連覇がついえて涙を流す李相花に歩み寄った。肩を抱き寄せ韓国語で「よくやったよ」を意味する「チャレッソ」と声をかけた。背中を日の丸の旗で包み、2人で場内の大歓声を浴びて「李選手はいつも親切。人としても、スケーターとしても尊敬できる友達です」と敗者をたたえた。

 14年ソチ五輪後の慢性的な膝の痛みから状態を上げてきた李相花には、地元開催の重圧がのし掛かった。レース中は大歓声が背中を押し、小平に劣るタイムが表示されると場内が静まった。複雑な感情を抱きながらも「私が日本に行くときは、いつも面倒を見てくれる。彼女の悪いところなんか1つもない。小平選手はいつもいい経験を与えてくれました」とほほ笑んだ。

 2人は昨年、22年北京五輪について話した。李相花は「なお(小平)は『あなたが行くなら、私も行く』と言っていて『あ、そう』と思いました。面白いと思いました」。韓国屈指のスターは「私は、取りあえず休養を取りたい」と、ため込んだ息をスッと吐いた。【松本航】