シンデレラガールが東京オリンピック(五輪)代表の座を射止めた。一山麻緒(22=ワコール)が冷たい雨をものともせず、日本歴代4位の2時間20分29秒で優勝した。1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生(ダイハツ)が記録した2時間21分47秒を上回って条件を満たし、マラソン女子代表の最後の1枠に決まった。野口みずきが持っていた2時間21分18秒の日本人国内最高記録を塗り替え、大会記録も更新した。

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ナイキの「厚底シューズ」の最新モデルを一山は履きこなした。上位10人では唯一、靴底の厚さ3・95センチとされる新作を履いていた。ワコールの永山監督は「大迫君があの靴で日本記録を出していた。一山も3つくらいの候補の中から選んだ」と説明した。

男子は圧倒的なシェア率を誇る厚底も、実は女子は少数派。MGCでは出場10人中、履いていたのは鈴木だけ。というのも、厚底シューズは、反発力がある分、体重が軽い女子は必要以上に体が上に弾んでしまうこともある。履きこなすには臀部(でんぶ)など筋力が必要。それが十分でないと、後半に失速する傾向がある。だから女子では体になじむ選手は少なかった。

一山もMGCなど従来は、別メーカーのシューズを使用していた。ただ、それだと足底に傷みが出たこともあって、厚底にトライ。2月の丸亀国際ハーフマラソンでは「旧作」の厚底を履いていた。特徴の大きなストライドは「厚底」にマッチした。そこに後半にも耐えられる筋力も鍛え、見事に「超厚底」を自分のものとした。