女子長距離の新谷仁美(32=積水化学)が1年後に開幕する東京オリンピック(五輪)への率直な気持ちを吐露した。

1年前ということについて聞かれ「愛犬の誕生日。そのことしか考えていなかった」とおどけた。5000メートルと1万メートルで参加標準記録を突破済み。その後、言葉を選びながら、持論を展開した。

「なんだろう。私たち選手だけでやる大会ではない。国民のみなさまのおかげで、私たちは働けていける。国民のみなさんが反対するのであれば、私はオリンピックは開催する必要ないと思う。東京で、日本で、開催する限りは、私たち選手がやりたいという気持ちよりも、全国民がやりたい、応援に行きたいという思いでなければ成り立たないと思う」。

この日の大会は無観客だった。

「無観客試合はコロナの状況を考えれば、これが最善だと思う。これ以上の感染者を出さないためにもいい選択だと思うが、コロナ関係なく、無観客は私たち選手にとっても、見る側にとっても、記者の方にとっても、マイナス面でしかないと感じる。私たちは応援あってこそアスリートとして成り立つ。やっぱり私たちが見せるべきは最高のパフォーマンス。見せる側としては、1人でも嫌と思う人がいるのであれば…こんなことは言いたくないですが、開催は難しいと思います」

1万メートルを見据えた強化のために出場したレースは、4分21秒95の1組1着だった。