世界陸連のセバスチャン・コー会長(64)が東京・国立競技場で行われた陸上の東京五輪テスト大会を視察した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、五輪開催への反対意見があることに会見で「シリアスな状況でナーバスになることも理解できる。しかし、組織委はコロナ対策として手順、ルールをきちんと整備している」と語った。

今大会はわずか9人の海外選手だが、本番では比較にならない海外選手が参加する。十分にテストできているかとの懸念には1、2日にポーランドで行われた世界リレー大会を例に挙げ「31カ国300人が集まったが結果的に陽性者は1人も出なかった。我々は日本の保健行政とも連携し、きちんとした対策を取る。皆さまにはご安心いただきたい」と理解を求めた。

世界的な感染爆発時に五輪を開く意義についても問われた。コー氏は12年ロンドン五輪で組織委会長を務めており「オリパラは世界のプレミアイベントだから4年に1度しかない。ロンドン五輪組織委会長を7年間務めた者として言うと、ロンドン東地区はいろいろなレガシーがもたらされ街が明るくなった。オリパラは光をともすような人々に希望を与えるようなイベントだ」と述べた。

続けて「街や文化の壁を超えて人々をつなぐイベント。そういった意味でも厳しい状況だからこそ開催する意義がある」と主張した。【三須一紀】