東京オリンピック(五輪)の陸上男子200メートル代表に内定した飯塚翔太(30=ミズノ)が内定発表から一夜明けた3日、オンラインで会見した。

12年ロンドン大会から3大会連続の五輪となる。過去2大会はいずれも予選を通過できなかった。「ずっと特別な舞台。過去2回は個人で惨敗している。そのリベンジは五輪でしか晴らせない」と強い決意を述べた。

5月9日の東京五輪テスト大会以降、右膝に違和感があり、日本選手権は6位。力を発揮できなかった。個人種目の出場は最大3枠までだが、飯塚は上から4番手の立場だった。「1枠漏れた。もしかしたら厳しいなと心構えはしていた」。しかし、日本陸連はメダル有望な400メートルリレーで結果を残す戦略として、個人出場を原則1種目とする方針を示しており、それに沿う形で、100メートルと200メートルの2種目で代表権を獲得した小池祐貴(26=住友電工)が200メートルを辞退した。結果的に、飯塚に権利が回ってきた。1度は失いかけていた切符だった分、懸ける気持ちは強い。

過去2大会の五輪では200メートルだけでなく、400メートルリレーにも出場。5年前のリオ五輪では第2走者として銀メダルに貢献した。走り高跳び衛藤昂(味の素AGF)、マラソン大迫傑(ナイキ)に並び、陸上の男子代表では最年長の30歳。400メートルリレー、1600メートルリレーのどっちに出場する可能性もある難しい調整をしながら、リーダーとしての役割も担う。

「いつでもメンバーに入れるように準備をするのはもちろんですけど、4継(400メートルリレー)もマイル(1600メートルリレー)もチームの士気を高めるようなサポートをすることがまず大事。初めて出場するメンバーもいる。みんながのびのと思い切り、打ち込めるような状況を作ることも自分の役割だと思っています」

日本選手権の結果を受け、出場は厳しい立場だということも受け止めた上で、最善の準備、そしてサポートをしていく。

右膝は回復してきているが、まだ100%とは言えない。3度目の五輪こそ結果を残すには、その不安を完全に払拭(ふっしょく)する必要がある。「あと1カ月あるので、十分に準備できる」。何度も重なったけがやアクシデントにも、ポジティブに向き合い、乗り越えてきた。

また、アフリカ大陸南部の小国「エスワティニ」のシブシソ・マツェンジワ(33)も東京五輪代表に決まった。世界大会に行くたび、道具をプレゼントし、過去にはエスワティニでの陸上教室も一緒に行くなど約8年の交流が続く友人だ。今もよく連絡を取り合う。「また彼と日本でオリンピックで再会できる。うれしい」。それも大きなエネルギーとなる。

この日は愛用するスパイク「クロノインクス」の東京五輪カラーのモデルも披露。夏空のような鮮やかなブルーが基調になる。飯塚は「赤いトラックに映える色だと思います。履く日を楽しみにしています」と声を弾ませた。