新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之理事(元電通専務)が主張している延期案について、複数の組織委理事が賛同していることが16日、分かった。今月30日の理事会でこの問題について話し合われるとみられる。7月24日開幕の通常開催を目指す方針は変わらない一方で、代替案の検討を並行して行う、大きなきっかけになる可能性がある。

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新型コロナの影響が世界中に広がる中、関係者によると、東京五輪の延期案を主張する高橋理事に賛同する組織委理事が複数人いて、広がりを見せている。一方で反対意見もあり、この議題が30日の理事会で話し合われた場合、紛糾する可能性もある。

高橋理事側の主張はこれまで「1、2年の延期を検討すべき」としてきたが、ここにきて「2年後」との考えに固まりつつある。21年は陸上世界選手権(8月=米ユージーン)、水泳世界選手権(7月=福岡)と大きな世界大会が予定されているためだ。

22年には冬季北京五輪が開かれるが、高橋氏の中には「東京五輪を夏にやり、オリンピックイヤーとして盛り上げる年にするべきだ」との考えがある。

組織委の中には、万が一の場合、無観客での開催が最も現実的と話す幹部もいるが「それでは世界中の興味を失う」と、無観客での実施には否定的な考え方を持つ。

世界保健機関(WHO)は新型コロナのワクチン準備に18カ月もの期間を要することを表明。国際オリンピック委員会(IOC)委員の発言や、開催都市契約などから、通常開催ができるかを判断する期限は5月末とみられているが、ワクチンが準備できる期限と、大きな差がある。

高橋理事側の主張の中には、新型コロナの影響が完全に収束した時期に、安心安全な状況で開催すべきとの前提がある。2年後への延期となれば、ワクチン準備目安の期限と一致する。

あくまで、通常開催の可否判断の主体はIOC。一方で、運営計画を進める組織委の理事会が、日本側の考え方をどうまとめ上げるかも、東京大会を守る意味で重要になってくる。