東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が11日、辞意を固めた。今日12日に開かれる組織委の理事や評議員による緊急会合で表明する。招致段階から元首相として国内外の調整に幅広く尽力してきた森氏が会長職から離れることで、五輪運営が混乱を来すことは間違いない。ただ、後任を託された川淵三郎氏(84)が森氏に相談役を依頼したことで、混乱を最小限にとどめたい構えだ。

<森会長発言の経過>

3日、問題発言

森会長が、JOC臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。女性蔑視と受け取れる内容として、批判を浴びる。

4日、撤回会見

森会長が会見して「五輪パラリンピックの精神に反するものだと不適切な表現だったと認識している。発言した件は撤回したい。不愉快な思いをさせた皆さまにはおわび申し上げたい」と謝罪。会長職は続投の考えを示したが、記者の質問にいらだつ場面も。菅首相は「(今回の発言は)あってはならない」。橋本五輪相は、森会長に対して「あってはならないことだという考えを、強く申し上げさせていただいた」。IOCは「森会長は謝罪した。この問題は決着したと考えている」と声明。

5日、撤回理解

JOC山下会長が定例会見で「不適切な発言だった」とした上で続投を支持。会議中に発言をとがめなかったことに「『ん?』と思った部分もあるが、指摘する機を逸してしまった」。小池知事は「絶句したし、あってはならない発言」とし、森会長から電話で謝罪されたと明かした。橋本五輪相はIOCバッハ会長と4日に電話で会談して「IOCとしてはその部分(発言撤回)は理解した」と言われたことを公表。

6日、大坂反応

女子テニス大坂が、森発言について「とても褒められた内容じゃなかった。もう少し考えてしゃべったほうがいい」。

8日、辞退続出

組織委が、週内にも理事会と評議員会による臨時会合を開くことが判明。スポンサー企業に対し、一連の出来事について説明を行った。森発言後の5日間で、大会ボランティア約390人の辞退を公表。自民党の二階幹事長は「どうしても辞めたいなら新たなボランティアを募集する」と発言して物議を醸す。

9日、一転不適切

IOCが森発言について、一転して「完全に不適切だ。IOCは引き続き男女平等、連帯、無差別への取り組みを継続していく」と声明を発表。スポンサー企業から「理念に反して遺憾」の声が上がる。

10日、出席拒否

小池知事が17日に調整されていた4者会談について「今ここで開いてもあまりポジティブな話題にならない」と出席を拒否。現役の五輪金メダリスト萩野公介が「女性蔑視ととらえています。非常に残念です」と失望を表明した。