巨人史上最強の5番・柳田真宏さんに会いに八王子のスナック「まむし36」まで/前編

あの「マムシ」は今―。プロ野球の巨人などで活躍した柳田真宏さん(77)は、今年6月に亡くなった長嶋茂雄さん(享年89)から学んだ「生き方」を第2の人生にいかしています。引退後は歌手―スナック経営と波瀾(はらん)万丈の人生ですが、「今があるのは長嶋さんのおかげ」と恩師に感謝しました。「巨人史上最強の5番打者」と呼ばれたV9戦士の柳田さんは現在、どのようなシニアライフを送っているのでしょうか―。同世代の人たちのヒントになればと思います。2回に分けて連載します。

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◆柳田真宏(やなぎだ・まさひろ)1948年(昭23)、5月21日生まれ、熊本市出身。九州学院高から66年の第1次ドラフト2位で西鉄ライオンズへ入団。68年、巨人へトレードで移籍した。77年、俊郎から真宏へ改名し活躍。114試合に出場し、打率3割4分、21本塁打、67打点をマーク。プロ通算16年で1079試合に出場、打率2割8分2厘、99本塁打、344打点。現役時代、タレント毒蝮三太夫(どくまむしさんだゆう)に似ていることから「マムシ」のニックネームで人気者になった。現在、東京・八王子でスナック「まむし36」を経営する。

■妻・久美さんと二人三脚で営むカラオケスナック

東京・八王子駅前の繁華街を抜けて、2、3分歩く距離の雑居ビル。その3階に「まむし36」のお店があった。妻・久美さんと二人三脚で営むカラオケスナック。エレベーターの中には「定員4名様迄」の張り紙があり、久美さんが入り口で「この看板は手作りなの」と扉の上の看板を指さした。店内には演歌のイントロが流れ、ベロア素材の赤色ソファ。昭和の香りがする雰囲気に包まれていた。

カベには現役時代、長嶋さんから打撃指導を受けるモノクロ写真などが飾ってあり、隣には「最強5番打者、歌う」歌手時代のポスター。柳田さんの人生を物語る、装飾だった。

柳田さん長嶋さんの訃報はショックで言葉にならなかった。葬式で棺の中にお花を添えるとき、長嶋さんのお顔を見ました。痩せて、顔が小さくて。長嶋さんとお別れかと思うと、もう涙が出てきて…。止まらなくて…。

長嶋さんには「巨人史上最強の5番打者」と呼んでもらいましたから、亡くなってからメディアの取材もあって。お店の宣伝にもなりますから、今でも長嶋さんにお世話になっているようです。

■「ヤナ、オレが投げるから」

コロナ禍では、スナック経営は厳しかった。人が密集する場は敬遠され、営業すると周囲の目も冷たかった。先行きが不透明で、怒りを向ける矛先もなかった。どん底の状態で、柳田さんが前を向けたのは、長嶋さんから学んだ「生き方」が大きく影響していたという。

蓄えを切り崩しながら店をたたまず、踏ん張るきっかけとなった、長嶋さんとの思い出のシーン。

「ヤナ、オレが投げるから」。

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野球

平井勉Tsutomu Hirai

Kumamoto

1967年、熊本市生まれ。1990年に入社し、プロ野球の西武、ヤクルト、巨人などを担当。米ロサンゼルス支局時代には大リーグを担当し、野茂英雄、イチローらを取材した。
野球デスク、野球部長、経営企画本部長などをへて現職。著書「清原和博 夢をつらぬく情熱のバッター」(旺文社)「メジャーを揺るがす大魔神 佐々木主浩」(旺文社)がある。