宇野昌磨 4年前の同舞台で語った「責任感」の行方 “素人”の父に気づかされたこと

【トリノ(イタリア)=松本航】12月11日に閉幕したフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで、男子の宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が初優勝を飾りました。

シリーズ2戦上位6人が集った今大会は男子最年長。昨季は出場権を得たもののコロナ禍で中止となり、宇野にとって4年ぶりの大舞台でした。前回の18年バンクーバー大会は2位。その両方を現地で取材した記者が、4年間での変化を記しました。

フィギュア

〈GPファイナル トリノより〉

表彰式で国旗をまとい記念撮影する宇野昌磨(中央)、山本草太(左)、イリア・マリニン(ロイター)

表彰式で国旗をまとい記念撮影する宇野昌磨(中央)、山本草太(左)、イリア・マリニン(ロイター)

【GPファイナル男子シングル成績】


順位選手SPフリー合計
優勝宇野昌磨(24歳)99.99204.47304.46
2山本草太(22歳)94.86179.49274.35
3イリア・マリニン(18歳)80.10191.84271.94
4佐藤駿(18歳)76.62173.54250.16
5三浦佳生(17歳)87.07158.67245.74
6ダニエル・グラッスル(20歳)80.40164.57244.97
エキシビションで演技する宇野昌磨(ロイター)

エキシビションで演技する宇野昌磨(ロイター)

ファイナル初制覇 宇野らしい記者会見

まだ外は明るいのに、締め切り時間が迫っていた。

12月10日、イタリア・トリノ。16年前に五輪が行われたパラベラ競技場に設置された会見場に、宇野が姿を見せた。午後3時、日本時間にして同11時を回っていた。頭を整理し、膝の上に置いたパソコンのキーボードをたたきながら、上位3選手の声を聞いていた。

壇上の中央に腰を掛けた宇野は、その少し前、フリーの演技を終えて初優勝を決めていた。9カ月ほど前、初めての世界王者となったフランス・モンペリエでの様子と比べ、終始、落ち着いているように見えた。実際に「緊張はしなかった」と言っていた。私の中での今大会のハイライトは、この記者会見中にあった。

右隣には2学年下で2位に入った山本草太がいた。その存在について、問われた時だった。私も視線をパソコンから宇野に向けた。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。