【細田采花〈下〉】「選手で見られなかった世界を見たい」コーチ4季目の思いと愛情

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の信念に迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第59弾はコーチの細田采花さん(31)が登場しています。現役時代は長光歌子コーチ(74)、濱田美栄コーチ(66)らの指導を受け、主に大阪を拠点に活動。23歳で臨んだ2018年の全日本選手権では大技トリプルアクセル(3回転半)をショートプログラム(SP)、フリーで計3本成功させて注目を集めました。

全3回の後編は競技者から引退後のコーチとしてのキャリア、将来への思いに迫ります。(本文敬称略)

フィギュア

◆細田采花(ほそだ・あやか)1995年(平7)2月3日、大阪・吹田市生まれ。小学2年生の夏にスケートと出合い、3年生から本格的に始める。2012年の初出場から、全日本選手権には7年連続出場。プロ野球の阪神などで活躍した金本知憲氏のファン。2021―22年シーズン限りで現役引退し、現在は大阪・関空アイスアリーナを拠点に「関空スケート」のヘッドコーチを務める。155センチ。

細田采花コーチ=2022年10月

細田采花コーチ=2022年10月

現役続行の決断

自己最高の8位に名を刻んだ2018年全日本選手権が閉幕し、年が明けた。

1度は現役引退を決めながらもトリプルアクセルを降り、急きょ訪れた〝延長〟の2季目も終わりに近づいていた。

続けるのか、やめるのか―。

周囲は様々な助言をくれた。

「今シーズンはすごく良かったけれど、また同じことをするのは難しいよ。続けるのであれば、それは覚悟した方がいいよ」

演技中に音が聞こえない。

直近の全日本のような究極の経験、喜び、達成感を、再び味わえるかは分からない。

それでも最後は、現役を続けるという決断を下した。

「当時は大学4回生でやめるとか、年齢にすごくこだわっていました。『別に年齢にこだわらなくても、続けたかったら続けていいんだよ』っていうのを、今後のスケート界のためにも見せてあげたかったし、自分自身で『やめるタイミングって自分で決めたらいい』『続けてみて、悪かったら悪かったで、それでもいいやん』と思っていました」

スケート界における知名度、注目度も上がっていた。

24歳で2019―20年シーズンへと、歩を進めた。

2019年5月、現役続行の意思を固めた細田采花

2019年5月、現役続行の意思を固めた細田采花

将来に向けた〝実験台〟

待っていたのは、涙だった。

本文残り85% (4663文字/5506文字)

大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。