宇野昌磨の心の成長に迫る 「できないことに後悔は、全くない」北京から丸1年の境地

22年北京五輪(オリンピック)のフィギュアスケート個人戦から、8日で丸1年となります。

団体戦に続く銅メダルでフィギュア日本勢最多となる3個目の五輪メダルを手にした宇野昌磨(25=トヨタ自動車)は以後、同年3月の世界選手権、12月のグランプリ(GP)ファイナル、全日本選手権を制しました。

国内外の大会で安定した成績を残す一方、変化している部分もあります。担当記者が1本のジャンプ「4回転トーループ-3回転トーループ(4T-3T)」に着目し、そこから見える成長をまとめました。

フィギュア

22年全日本選手権、金メダルを手に笑顔を見せる宇野。「もう4-3にこだわりを持たない」と話した

22年全日本選手権、金メダルを手に笑顔を見せる宇野。「もう4-3にこだわりを持たない」と話した

北京ではこだわっていた4Tの後の3回転

4回転トーループ。

今や世界王者となった宇野が、初めて習得した4回転ジャンプだ。ジュニア時代の2014年。何度も何度も練習でトリプルアクセル(3回転半)に挑んでいた時期、居合わせた先輩の無良崇人に助言を受けた。

「4回転トーループをやってみたら?」

没頭していたアクセルの練習から少し頭を切り替え、先に4回転トーループを降りた。そこからプログラムへと組み込み、年の瀬の全日本選手権(長野)フリーでは、4回転トーループ、さらには3回転半をそろえてみせた。

それ以降、フリップ、ループ、サルコーと4回転ジャンプを習得していった。他の4回転の成功率がまだ高くない時期も、安定した4回転トーループは大切な得点源としてあり続けた。

そんな宇野が1年前、北京五輪で4回転トーループに“挑戦”していた。

本文残り89% (3122文字/3527文字)

大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。