世界女王もショート落ちした独特な大会「全中」 6年ぶり取材の記者が伝えるその風景

フィギュアスケートの全国中学校大会が2月5~7日、長野市ビッグハットで行われました。女子は世界ジュニア選手権(3月、カナダ・カルガリー)代表の島田麻央(14=京都・広野中2年)が2連覇を達成。男子は田内誠悟(14=愛知・城山中)が、目標としていた初優勝を飾りました。

結果に注目がいく競技会ですが、今大会は棄権の選手を含め男子48人、女子79人がエントリー。中学生年代しか出場できない大会の雰囲気を、6年ぶりに現地取材した記者が伝えます。

フィギュア

ショート落ちしたものの、大きな演技で観客の目を釘付けにした大島佑翼。兄もスケーター、大島光翔

ショート落ちしたものの、大きな演技で観客の目を釘付けにした大島佑翼。兄もスケーター、大島光翔

フリー進出は18人だけ ジュニア代表級も戦々恐々

あれは、2020年12月のことだった。

長野市ビッグハットで行われる全日本選手権が、約2週間後に迫っていた。

場所は神戸港内に作られた人工島「ポートアイランド」。その島にあるリンクで、練習を終えた坂本花織(22=シスメックス)に取材をできる機会があった。

「全日本の開催地の長野のイメージは…」

話の流れで、ふと思い付いた質問を投げてみた。

のちの世界女王は、照れくさそうに笑って答えた。

「中3の全中ぶり? 最後の印象が悪すぎて(笑い)。38位。それ以来、行く機会がなかったです。でも中2で長野の全日本があって、その時は結構良かった(2014年=6位)です」(写真は中学3年生の坂本)

取材後、すぐに当時の記録を調べた。

2016年、第36回全国中学校スケート大会。

坂本は2組に分かれた女子ショートのBで、41・83点の19位だった。Aと合わせると38位。フリーに進むことができない、いわゆる“ショート落ち”だった。

優勝は同い年の樋口新葉。坂本にとっては右すねの疲労骨折からの復活を目指す過程での結果だが、国内外数多くの大会に出てきた選手が、細かな順位まで記憶していることに驚いた。

全国中学校大会の会場を彩る地元中学生の絵

全国中学校大会の会場を彩る地元中学生の絵

フリーに進めるのは、ショートプログラム(SP)の上位18人。

7年前も、今も、変わらないこのルールが、全国中学校大会の特徴といえる。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。