宇野昌磨が世界連覇直後に発した言葉 「表現」と向き合うオフが始まる

フィギュアスケート男子の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)が、世界選手権2連覇を飾った22~23年シーズンの競技会を終えました。

世界選手権後にはオフシーズンは表現面にこだわり、従来の競技会に向けての準備とは違ったアプローチを行う意向を示しました。

かねてスケーターとしての理想と、競技会で上位を目指すための練習について、思いを語ってきた宇野。7シーズンに渡って取材を続けている記者が、理想を追う歩みを記しました。

フィギュア

23年世界選手権、連覇を果たしランビエルコーチらに胴上げされる宇野

23年世界選手権、連覇を果たしランビエルコーチらに胴上げされる宇野

7シーズンの取材通して記した宇野の理想を追う歩み

このタイミングで来たか-

紙面原稿の締め切り時刻が迫っていた3月25日の夜。世界選手権が行われていた、さいたまスーパーアリーナの取材エリアで、私は床に座り、キーボードをたたきながら思った。

その直前、宇野は2季連続の世界王者に輝いた。

取材エリアで宇野の声を聞きながら、一言一句を逃さぬようノートに記した。

乱雑な文字から、あえてボールペンの赤で囲った部分を使い「ショーに出る中で、どんなスケートをできるかを探していきたい」というコメントを、紙面原稿の最終段落にぶち込んだ。

伏線はあった。


1年前。フランスのモンペリエで行われた世界選手権で、聞いた言葉だった。

エキシビション前には現地に足を運んだ記者だけで、ゆっくりと話を聞く機会があった。

取材の輪にいた誰かが尋ね、世界王者になったばかりの男は思いを口にした。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球などを担当。22年北京冬季五輪もフィギュアスケートやショートトラックを取材。
大学時代と変わらず身長は185センチ、体重は90キロ台後半を維持。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。