りくりゅうの“ホップ”を記者が見た 6分間練習前、2人のこだわりににじむ奥深さ

フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが12月8日、フランス・グルノーブルで幕を下ろしました。

ペアで愛称「りくりゅう」の三浦璃来(22)木原龍一(32)組(木下グループ)も、2季ぶりにシリーズ2戦上位6組が集う選ばれし舞台に戻ってきました。フリーでは課題が出ながらも総合2位に食い込み、シーズン後半戦へとつなげました。

日刊スポーツでは記者1人、通信員1人、カメラマン1人の計3人体制で現地取材。担当記者がバックステージでの「りくりゅう」の姿を見て、学んだことを記します。

フィギュア

エキシビションで演技を見せる三浦(左)木原組(撮影・パオロ ヌッチ)

エキシビションで演技を見せる三浦(左)木原組(撮影・パオロ ヌッチ)

りくりゅうの準備を観察した

フィギュアスケートでおなじみな単語の1つに「6分間練習」がある。

滑走順の近いメンバーが、6分という限られた時間で行うリンクでの最終調整。他者とグループで一斉に滑るために、軌道が重なり、思うように時間を使えないことも、しばしばある。

我々のような記者はその一挙手一投足で心身の状態を想像し、観衆の多くは応援する選手の好調を願う。

許されるのはわずか6分の“リハーサル”のみだ。自身の滑走直前に巡ってくる、わずかな足慣らし以外は陸の上での準備が続く。

かつてグランプリ(GP)シリーズのフランス杯などが開かれてきたグルノーブルの会場は、今回、ファイナル仕様になっていた。

GPファイナルが行われたフランス・グルノーブルのペティノワール・ポレサッド(撮影・松本航)

GPファイナルが行われたフランス・グルノーブルのペティノワール・ポレサッド(撮影・松本航)

メインリンク横のサブリンクは地面に床が張られ、そのスペースが黒のカーテンで4つに区切られていた。記者が作業するプレスルーム、メダリストらが集う記者会見場、選手や関係者のみが使えるラウンジ、そしてウオーミングアップエリアといった具合だった。

メディアがウオーミングアップする選手を遠目に見ることができる大会は、振り返ってみても多くない。

普段はテレビに流れる映像で、選手がヘッドホンをしながら走っていたり、縄跳びをしていたり、ストレッチに励む様子を確認する程度だ。

12月5日の午後7時半。25分後から始まるペアショートプログラム(SP)に向けて、ウオーミングアップエリアは混雑していた。

ガラス張りの2階から様子を見てみると、左奥に三浦、木原の姿があった。

ちなみに世界を引っ張るペア6組に交じり、午後9時5分開始の女子ショートプログラム(SP)に備える千葉百音(木下アカデミー)の姿もあった。足の裏をほぐす様子を見ながら、準備開始の早さに驚いた。

少しばかり、私もその場で眺めてみようと思った。

時系列でみるりくりゅうの準備

この日の三浦、木原組の6分間練習は午後8時20分開始。そうして同40分からの最終滑走を控えていた。時系列で動きを振り返る。

7時35分(6分間まで45分、滑走まで1時間5分)

三浦用と木原用、それぞれのストレッチマットを縦に並べた状態で、木原は1人立っていた。最初に壁に体を当て、自身と会話しているよう。紫のゴムチューブを持ち出すと、まずは横歩き。三浦はストレッチマットの上であおむけになり、脚上げ腹筋をしていた。

7時37分(6分間まで43分、滑走まで1時間3分)

次に木原が手にしたのは黄色のゴムチューブ。腕を使って斜めに引き上げていた。三浦は体を前に倒して、股関節のあたりを伸ばしている。木原の「動」に対し、三浦は「静」。脇目にはストレッチをする千葉、そして体操座りで音楽を聴くアンバー・グレン(米国)の姿も確認できた。

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大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。