宇野昌磨さんは本当に“アスリートっぽい”のか Ice Brave2から感じたこと

フィギュアスケートのアイスショー「Ice Brave2」は11月1~2日、最初の開催地となる京都での公演を終えました。

宇野昌磨さん(27)がプロデュースし、7人のスケーターとともに作り上げるショーは、初日午後の公演がメディアに公開されました。

京都アクアリーナまで取材に向かったのは、2016年から宇野さんや本田真凜さん(24)らを取材する松本航記者(34)。現場で感じたことを「Ice Story」としてお届けします。(本文敬称略)

フィギュア




11月1日、エネルギッシュなすべりで魅了する宇野昌磨さん(撮影・滝沢美穂子)

11月1日、エネルギッシュなすべりで魅了する宇野昌磨さん(撮影・滝沢美穂子)


ハイライトは最後にやってきた


11月1日午後4時半からの公演を前に、少し寄り道をしてみようと思った。

品川から乗った新幹線は、午前11時ごろに京都駅に到着。その足で京都市営地下鉄に乗ると、20分足らずで松ケ崎駅に着いた。

近くにある宝ケ池公園球技場では、全国高校ラグビー大会の京都府予選準決勝が行われていた。



顔見知りの関係者との再会を喜びつつ、伝統の赤のジャージーで戦う京都工学院高校の一戦を〝泣き虫先生〟とともに見守った。

山口良治、82歳。



監督として京都工学院の前身にあたる伏見工高校を全国制覇に導くと、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとなった。

監督を退いた後は、京都市役所に出向した。市内のスポーツ環境整備に力を注ぎ、その流れで2002年に完成した京都アクアリーナの初代館長を任された。

その年、山口の行動力もあり、アクアリーナでNHK杯が開催された。

以降、23年にわたり、この施設は京都のスケート界を支えてきた。

京都工学院の快勝で幕を下ろした試合後、山口に「これからアクアリーナで取材をしてきます。宇野昌磨さんのアイスショーが、開かれるんです」と伝えた。

「そうかそうか。アクアリーナ、懐かしいなあ」

つえを手に座る山口が、そんなことを口にしていた。

個人的にはアクアリーナで、西日本選手権や地方競技会に出場する本田真凜を取材した記憶が色濃い。

一体、どんなショーになるのだろうか。

京都の歴史に少しばかり思いをはせながら、西京極へと向かった。


◇ ◇ ◇


アイスショー仕様になった会場は、新鮮だった。

取材エリア、バックヤード…。無意識に競技会の際の動線と重ねながら考えてしまう。

普段は競技の取材が主であり、宇野や仲間のスケーターが滑る演目に懐かしさや新鮮さ、驚きを感じつつも、競技者としての姿と重ね合わせてしまう癖が抜けない。

今や、SNSでの肩肘張らない投稿が注目を集める宇野。8月の合同取材会では、こんな具合に言っていた。

「本当に心からゲームが大好きで、みんなの気持ち、どちらかというとスケーターの気持ちよりも、SNSの気持ちの方がよく分かるからこそ、すごく居心地がいい。そういう思いで今、SNSは居心地よく『ここが住みやすい世界なんだろうな』と思っています。元からこんな感じなんですが、メディアが優秀で(笑い)、アスリートっぽく仕上がっていたんですけど、だいぶ自分の一面が、皆さんにお見せできていると思います」



〝アスリートっぽく〟と笑わせたが、競技会を取材し、原稿を書いてきた立場からすると首を横に振りたい。

現役時代を見る限りは、アスリート。世界王者に2度輝いた実績は色あせない。

それなら、あえてアイスショーから〝アスリートっぽいところ〟を見つけていくのも面白いと思った。

そんな思いで記者席に座った。



◇ ◇ ◇


そういう意味で、ハイライトは最後にやってきた。


本文残り65% (2293文字/3546文字)

大学までラグビー部に所属。2013年10月に日刊スポーツ大阪本社へ入社。
プロ野球の阪神を2シーズン担当し、2015年11月から西日本の五輪競技やラグビーを担当。
2018年平昌冬季五輪(フィギュアスケートとショートトラック)、19年ラグビーW杯日本大会、21年東京五輪(マラソンなど札幌開催競技)を取材。
21年11月に東京本社へ異動し、フィギュアスケート、ラグビー、卓球、水泳などを担当。22年北京冬季五輪(フィギュアスケートやショートトラック)、23年ラグビーW杯フランス大会を取材。
身長は185センチ、体重は大学時代に届かなかった〝100キロの壁〟を突破。体形は激変したが、体脂肪率は計らないスタンス。