辰吉寿以輝の現在地〈5〉日本ランキング返り咲きへ 1・23エディオンアリーナ大阪

平成のカリスマ、丈一郎を父に持つ辰吉寿以輝(27=大阪帝拳)。

日本初の親子世界王者につながる道を一途に歩む。

11月15日から延期された日本バンタム級11位与那覇元気(32=真正)とのノンタイトル8回戦は来年1月23日、大阪開催が決まった。

約2カ月強の延期が、どのように作用するのか。

発表会見の2日前からスパーリングに入った寿以輝は、新しい可能性を見せている。

ボクシング

フォトセッションでポーズを取る選手たち。前列左から与那覇、ユーリ阿久井、寺地、那須川、辰吉、後列左から田中、井上拓、中谷、増田

フォトセッションでポーズを取る選手たち。前列左から与那覇、ユーリ阿久井、寺地、那須川、辰吉、後列左から田中、井上拓、中谷、増田

11月15日から延期されていた与那覇戦が決定

12月14日午後1時。

東京ドームホテルに豪華なメンバーがそろった。

寺地健四朗、中谷潤人、田中恒成、井上拓真、那須川天心。

1月24日と2月24日の興行が同時に発表された。2つのイベントで合わせて世界戦は5試合を数える。

その中に、寿以輝の姿もあった。

11・15で対戦するはずだった与那覇とともに、再び会見に出た。

与那覇 最高のショーをを見せます。最高の相手なので、試合で見せて勝ちに行く。絶対勝ちたい。

寿以輝 普通に練習してきました。ずっと。いい相手なので、思い切りどつきあいして絶対勝ちます。

与那覇 正統派でパワフルな選手。展開は先にどでかいのを当てたもん勝ち。先に当てて勝ちたいと思う。

寿以輝 何でもできる万能型の選手。(与那覇が)先に当てたもん勝ちということなので。先に当たっても、当て返して勝ちます。

9月末の会見と同様、両者とも激しい打撃戦を予想させる言葉だった。

会見前からスパーリングを再開

すでにスイッチは入っている。

12月12日、与那覇戦の仕切り直しが発表される2日前。

寿以輝は、大阪・寝屋川市内の石田ジムにいた。

スパーリングを前にした辰吉寿以輝

スパーリングを前にした辰吉寿以輝

真っ白な壁に掲げられたテレビ画面では、東京・後楽園ホールでの興行が、生中継で放映されていた。

「炎の男」輪島功一の孫である磯谷大心が、3回TKOでB級初勝利を挙げていた。

寿以輝は画面を見ることもなく、黙々とスパーの準備をしていた。

「いけます」

石田ジムの佐々木佳浩トレーナーに声をかけた。

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スポーツ

益田一弘Kazuhiro Masuda

Hiroshima

広島市生まれ。2000年の入社からバトル、相撲、サッカー、野球を担当して、13年からオリンピック担当。
14年ソチ、16年リオデジャネイロを取材して、18年平昌、21年東京は五輪班キャップを務める。東京五輪後に一般スポーツデスク。
大学時代はボクシング部で全日本選手権出場も初戦敗退。アマチュア戦績は21勝(17KO)8敗。