辰吉寿以輝の現在地〈10〉サウスポーの壁

平成のカリスマ、丈一郎を父に持つ辰吉寿以輝(27=大阪帝拳)。

日本初の親子世界王者につながる道を一途に歩む。

日本スーパーバンタム級11位となって、5月18日に大阪で強豪サウスポーと対戦することが決まった。

41勝(27KO)9敗のキャリアを誇るチャイワット・ブアトクラトック(31=タイ)とのノンタイトル8回戦に臨む。

タイトル戦線への試金石として、プロ17戦目で2度目の対サウスポーになる。

ボクシング

報道陣7人 多いか、少ないか

エレベーターを3階で下りると、ジムの入り口に来場者用の名簿があった。

「日刊スポーツ 益田」と名前を書き込む。

上を見ると、すでに何人かの名前が書いてある。

3月26日、午後3時30分。

大阪帝拳ジムで、寿以輝の次戦発表会見が行われた。

リング前に丸いイスが置かれて、吉井会長、寿以輝がそれぞれ座った。

辰吉寿以輝(左)は、5月18日にサウスポーのチャイワット戦に向けて会見した。右は吉井会長(2024年3月26日撮影)

辰吉寿以輝(左)は、5月18日にサウスポーのチャイワット戦に向けて会見した。右は吉井会長(2024年3月26日撮影)

集まった報道陣は7人。

この数が多いのか、少ないのか。

ボクシングの会見が行われる場合、在阪各社のボクシング担当にメールが回る。

幹事社連絡といわれるものだ。

取材にいくかどうかは、各社の判断に委ねられる。

ボクシングの発表会見でも最も価値が高いのは、世界戦の発表会見だ。

在阪でいえば、スポーツ紙、一般紙、通信社、テレビ局、ウェブメディアなど含めれば20社近く、報道陣は40~50人になる。

世界戦は別格として、日本タイトル戦の発表になると、人数はぐっと減る。

一般紙、通信社は日本王者の会見に姿を見せることはあまりない。

話題性がある日本王者で7、8社、そうでなければ、スポーツ紙3社ということもある。

寿以輝の会見に訪れた7人の内訳は、ペン記者6人とカメラマン1人。

取材者はスポーツ紙4紙、ウェブメディア1社、雑誌1社だった。

日本スーパーバンタム級11位のランカー、タイトル経験がなく、しかもノンタイトル8回戦であることを考えれば多い方だといえる。

スリリングなマッチメーク

寿以輝は、与那覇戦から4カ月で次戦を迎える。

「いいスパンでやれる。ガツガツくる相手。サウスポーが苦手じゃないというところを見せたい。KO勝ちしたい」

相手は、パンチ力に秀でた強打者。

サウスポーは距離を生かしたアウトボクサーが多いが、チャイワットはファイタータイプだ。

日本でもリングに上がっている。

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スポーツ

益田一弘Kazuhiro Masuda

Hiroshima

広島市生まれ。2000年の入社からバトル、相撲、サッカー、野球を担当して、13年からオリンピック担当。
14年ソチ、16年リオデジャネイロを取材して、18年平昌、21年東京は五輪班キャップを務める。東京五輪後に一般スポーツデスク。
大学時代はボクシング部で全日本選手権出場も初戦敗退。アマチュア戦績は21勝(17KO)8敗。