4日に終了した児島周年を取材した時、衝撃を受けた出来事があった。機力の弱さに苦しんでいた今垣光太郎(49=福井)が、峰竜太(34=佐賀)にペラ調整の“弟子入り”をしていたのだ。大ベテランが年下から必死になって学ぶ姿を見て、ただただ驚いた。

今垣光太郎
今垣光太郎

峰は昨年末のSGグランプリを制し、ボート界のトップ選手であることは間違いない。ターン技術だけでなく、ペラを含めた調整力の高さもピカ一だ。今垣は真剣に他地区の後輩の話を聞き、自分の引き出しを増やそうと必死だった。

かつて担当したプロ野球ソフトバンクホークスの若手投手は、メジャーへ移籍するダルビッシュにスライダーの投げ方を教えてもらい、のちに主力投手に成長。こういったケースはあるが、逆に10歳以上年下の選手に教えを請うベテラン選手を見たのは今垣が初めてだった。

「他の業界ではあまりないですよ」と本人に伝えると、「そういえばそうですね。でも、峰君は天才ですからね。優しいんですよ。いろいろ教えてくれるから」と目を輝かせていた。

例えば、プロ野球ならマー君(ヤンキース田中将大)が、大谷翔平に弟子入りしてもいい。サッカーなら52歳で現役のカズ(三浦知良)が、18歳の久保建英にドリブルやパスを教えてもらうのもいい。プライドをかなぐり捨ててでも上を目指す今垣の姿勢は、各業界のスター選手にとっても参考になると思う。