公営ギャンブルで電投が普及してなかった昔は、現場に行かないと券は買えなかった。だから特定の選手を追いかけ、全国中を旅打ちする“追っかけファン”が少なからずいた。同世代の同業記者が競輪の児玉広志(故人)をデビューから追っかけて車券を取りまくり「ポケットに札束をたんまりためて地方で豪遊したものよ」と自慢げに話していたのを思い出す。

下出卓矢
下出卓矢

今はどこでも買える時代だが、とことん追いかけて買ってみたいボート選手が下出卓矢(33=福井)だ。とにかく伸びに特化したエンジン出しがえげつない。担当する丸亀に来た19年の走りは衝撃的だった。3月は完全に伸び仕様にした3日目から4連勝締め。「どの枠でも負ける気がしない」と言い切った。9月は序盤から節一級に仕上げ「いいエンジンを引けばMAXで出せる」と豪語して準V。次の平和島周年では何とG1初制覇も決めた。

7、8年前から伸びにこだわる調整をとことん追求。「楽して勝つには伸びを付けるのが一番。伸び仕様は出足不足でターンで流れるリスクもあるけど、その調整で乗れる旋回力も身につけてきた」とレースで自信も深めてきた。

現在はF休み中で12日の戸田が走り初めとなる。「今年は伸びの精度をさらに上げたい。出てるときは出てるとコメントできっちり発信します。そして他より極端に展示タイムが出てるときが僕の買い時です」。今年は枠不問で狙える下出をとことん追っかけて、高配当をゲットしたい。