浜名湖ボートが11日から本場の営業を再開した。安定板が付くほど荒れた天候となったが、2541人のファンが来場し、約3カ月ぶりに本場でのレースを楽しんだ。サーモグラフィーによる検温、マスク着用が義務付けられるなど、まだまだ規制は多いが、ベビーカーを持った家族連れの姿もあり、なんだかほっとする光景だった。

駅からボート場への道すがら、60代のファンに声をかけてみた。原稿の構成を考えて、ボートレースを生で味わえる喜びを引き出すつもりだったが、そのファンは「3カ月ぶり? もっと久しぶりに感じるよ。ここに来れば顔見知りがいるからね。久しぶりに会えるのがうれしい」と笑顔で話してくれた。全く想定外の答えだった。

売り上げだけを見れば、ボートレースは盛況だ。いずれも無観客で実施された住之江オールスターが売り上げ目標を60億円以上オーバーすれば、大村周年も周年としては05年の蒲郡以来となる、90億円をクリアした。電話投票、ネット投票が大幅に増加。コロナショックどころか、巣ごもり需要を確実に取り込んだ。

19日にプロ野球が開幕するなど、今後はさまざまなレジャーが活性化する。果たしてこのままの売り上げをキープできるのか。楽観はできないと思う。エンジンの音、スピード感、グルメも。本場でしか味わえない楽しみは多い。それ以上に、地域コミュニティーの貴重な場であることも忘れてはならない。あらためて言うことでもないが、実際にレース場に足を運んでくれるファンを大事にしてほしい。