9日に開催された福井競輪G3・3日目は、突然の豪雨により準決10R以降が中止となった。この大会は、名実ともに日本一と称される「ワッキー」こと脇本雄太の地元記念。誰もが優勝を疑わなかった。

だが“悲劇”は起きた。5R終了時点で3日目の開催は成立、翌日が最終日になることは決定事項となっており、決勝を走る選手を決めなくてはならない。競輪界において、中止となったレースに出走予定だった選手は、いわゆるガラポン(正式名称は新井式回転抽選器)で「みなし着位」が付与される。抽選の結果、ワッキーはまさかの“6着扱い”で決勝進出を逃した。

「みなし着位」の抽選の結果、決勝進出を逃した脇本雄太(左)と松浦悠士
「みなし着位」の抽選の結果、決勝進出を逃した脇本雄太(左)と松浦悠士

同着時の勝ち上がりの扱いは、明確な基準がある。例えば、準決3着同着で決勝に上がる選手1人を決めなければならないケースだと、直近の上位格競走の上位着順、初日までさかのぼっても一緒なら、競走得点(G1など選考基準がある開催は選考順位)、そこでも同点だと勝率→連対率→前期競走得点→前々期競走得点…と、優劣がつくまで数字を照らし合わせる。ワッキーは、初日特選、2予と1着。この基準なら、堂々の“1着扱い”だ。

もちろん、9選手に平等に勝ち上がりのチャンスが与えられるのがベストなのは間違いない。だが、数字を根拠に序列が示されれば、選手も納得するはずだ。

準決で別のレースを走る予定だったSS班の松浦悠士も、決勝を逃した。「運も実力のうち」という言葉で終わらせてしまうには、あまりにも残酷すぎる。これを契機に問題提起が行われるとしたら、ワッキーも無念を晴らすことができるかもしれない。