平本真之(37=愛知)が、初のダービー王に輝いた。やや中へこみ展開になりながらも、巡ってきた絶好枠を武器に、峰竜太の攻撃を封じて押し切った。16年5月の尼崎オールスター以来、3度目のSG制覇。通算35度目の優勝を飾った。今年の賞金ランクは2位に浮上。1Mの隙を突いた秦英悟が2着、峰が3着に入った。

平本真之が、再び引き寄せたチャンスを逃さなかった。準優は波乱の末、予選4位から絶好枠が巡ってきた。優勝戦はインから押し切り、SG3度目、初のダービー制覇を成し遂げた。ゴール前では天を仰ぎ、ド派手に右手を突き上げた。「見てくれる方へ、でかいリアクションで応えたかった」。活気の戻りつつある場内、映像から感じる歓声に全身で喜びを表した。

一瞬、ひやりとしながらも巧みにしのいだ。コンマ11のトップスタートを決めたが、4カドの峰も同様。ただ、ここから冷静だった。中へこみ隊形になっても鋭く伸び返し、峰の攻撃を封じた。「少しびびりました。でも、足はものすごくいい状態。まくられる感じじゃないと思ってから、冷静に、丁寧に回れた」と慌てずに対処。「ほど良い緊張感。(SG前回Vの)5年前より、度合いは少なかった」と精神的な成長も実感できた。

絶妙なリカバリーが勝因につながった。序盤から快調に着をまとめ、得点率は暫定トップ。4日目11Rで3着以上ならば予選首位だったが、先頭を争いながら最後方まで後退。「レーサー人生の分岐点と思うくらい」と表現した悔しさと落胆を味わった。それでも周囲の励ましで自らを鼓舞した。「周りに救われた。いい具合に開き直れた」。その後の準優快勝など、最高の流れを呼び込んだ。

「相性がいい」と平和島で2度目となるSGを勝ち、今年の賞金も2位へ浮上した。「こんなに稼げるとは。でも、7位と上位6人でいくのは雲泥の差と思っている。アドバンテージを生かしてグランプリに行きたい」。初のGP2ndステージから頂点を目指し、今後もポジティブに走り続ける。【窪寺伸行】