10月、蒲郡ボートで開催されたSGダービーで、峰竜太(38=佐賀)がまた1つ伝説を作った。6度目のSG優勝を飾り、通算100度目の優勝。そして、24場制覇を達成した。

からつ周年の準優で師弟ワンツーを決めた峰竜太(左)と山田康二
からつ周年の準優で師弟ワンツーを決めた峰竜太(左)と山田康二

100Vは歴代24人目、24場制覇は34人目。それぞれの記録については前人未到ではないが、SGの舞台で同時に達成するあたりに華がある。しかも、選考除外期間が明け、21年グランプリ以来、1年10カ月ぶりのSG復帰戦だった。ドラマチックなストーリーを、ハッピーエンドで完結させた。やはり峰はスーパースターだった。

ダービーの売り上げは約180億円と大盛況で、目標を軽く超えた。これもスーパースター効果だろう。準優後の共同会見で、「ドラマがあるとメディアもファンも盛り上がる。自分だけしんどい思いをしているけど。でも、そこで結果を出すのがスーパースターじゃないかなと思っている」と言ってのけた。

同じく100Vが懸かっていた9月からつ周年(優出2着)でも、優勝戦を前に「自分にはスター性があると思う。そのスター性に懸けたい」と話していた。自分で言うのも峰らしいが、決しておごっているわけではない。周囲から求められる自分の立ち位置を理解しているからこそだ。

優勝戦はコンマ09のスタートを決めて先マイ。1Mでは桐生順平のまくり差しを退け、逃げ切った。勝ったら泣くだろうと思っていたが、やはり。これまでも勝って泣き、負けて泣いた。時には他人のことでも涙した。「1つのレースに勝った、負けたで泣くわけではない。そこまで来るまでの苦労とか、思いとかがある。それを思うとあふれてしまう」と以前、聞いた。21年グランプリでの41億円の大返還、自身の認識不足による出場停止。ダービーでもかなりのプレッシャーあったはず。こみ上げるものがあって、当然だろう。

福岡周年のピットで峰竜太(左)が深谷知博のファッションチェック?
福岡周年のピットで峰竜太(左)が深谷知博のファッションチェック?

この優勝で賞金ランクは1位に浮上した。今年のSG出場はダービーだけでこの位置にいるって、すご過ぎる。この後は三国チャレンジC、住之江のグランプリへと続く。またドラマの主人公になるのか。ボート界のスターは峰だけじゃないが、分かっていても期待してしまう。