ボートレーサーが初勝利や初優勝、初のグレードレース1着など記念の勝利を挙げた際に行うのが「水神祭」。水面に当該選手を投げ込んで祝福するのが慣例になっていますが…。

私、日刊スポーツにてボートレース取材を主に担当しております木村重成は、予期せぬ出来事で新聞記者でありながら水面に落ちてしまう、「セルフ水神祭」をやらかしてしまったことをここにご報告申しあげます。

時は2024年1月18日、午後1時45分ごろのことでした。

水面に落ちた木村重成記者を引き揚げようとする斉藤仁選手(右)
水面に落ちた木村重成記者を引き揚げようとする斉藤仁選手(右)

この日は江戸川ボートレース場で開催されるG2「江戸川634杯 モーターボート大賞」の予選最終日4日目が行われていました。1RでG2初勝利を挙げた森作雄大選手(37=東京)を祝うべく、ピット内にて水神祭を行おうと選手、マスコミ関係者らが水際に向かいました。

木村はその水神祭を撮影すべく、ピットに行ってカメラを構えようと撮影ポジションを探しておりました。ちょうど、ピットと水面が狭くなっている部分を通ろうとした瞬間、少し水面が揺れたんです。バランスを崩してしまい、体が水面へと投げ出されたのです…。

こういう時って、本当にスローモーションのように時間経過が遅く感じるんですね~。身をもって体験しました。

水面に落ちたからには体がぬれるのは仕方ない。ただ私物のカメラだけは水につけたら壊れてしまう。だからぬらしたくはない! とっさに右手でカメラだけは陸の上へ出し、体は全身、水面にドボン! と音を立てて入ってしまいました。

水面に落ちた木村重成記者を福来剛選手(中)、斉藤仁選手(右)の2人がかりで引き揚げようとする
水面に落ちた木村重成記者を福来剛選手(中)、斉藤仁選手(右)の2人がかりで引き揚げようとする

『大丈夫?』江戸川ボートの職員さんや選手の声は聞こえるのですが、何とか、まずは水面から出ないと…と気は急きます。

しかし、水を含んだジャンパーをまとった体は、重くてなかなか簡単には上がらない。誰かが手を引っ張ってくれているのは分かりました。でも体が上がらない。2人、3人…。大がかりな『救援活動』の末、無事に水面から脱出。カメラも無事で、その後すぐに行われた森作雄大選手の本物の水神祭は撮影することができました。

後で分かったことですが、救助にあたってくれたのは選手でした。斉藤仁選手、福来剛選手、小林泰選手、本当にありがとうございます。また他社の記者の皆さん、江戸川ボートで働く職員の皆さんにもご迷惑をおかけしました。皆さん快く応対してくださり、感謝感謝です。

結局、小林泰選手、福来剛選手、斉藤仁選手の3人と江戸川ボートの職員の皆さんによって木村重成記者は水面から引き揚げられた
結局、小林泰選手、福来剛選手、斉藤仁選手の3人と江戸川ボートの職員の皆さんによって木村重成記者は水面から引き揚げられた

ずぶ濡れになった後、江戸川ボートレース場さんのご厚意で着ていた衣類を乾かしていただきました。さらに職員の方が着る衣類を貸してもらって、記者作業は何とか続けることができました。

そして大事な水神祭を台無しにしてしまった森作雄大選手にわびると「大丈夫ですか? 宿舎でネタにさせてもらいますね~」と笑顔で許してくれました。

救いは自分を助けてくれた斉藤、福来、小林の3選手がこんな出来事があったにも関わらず、レースでも頑張ってくれて5日目の準優勝戦進出を決めてくれたことでした。

読者の皆さんが知りたいのは「セルフ水神祭」の感想ですよね? 

江戸川の水は……

『しょっぱかった』です(泣)。【ボートレース担当・木村重成】

水面に落ちた木村重成記者の衣服が乾くまで、江戸川ボートの職員さんが着用する衣服を臨時で貸与してもらって作業する
水面に落ちた木村重成記者の衣服が乾くまで、江戸川ボートの職員さんが着用する衣服を臨時で貸与してもらって作業する